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赤い瞳の娘 r+2175

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私の中学校の同級生に、左眼が赤い生徒がいた。

彼女の名前は君島典子。入学直後からその美貌が男子生徒の間で評判となったが、同時に奇妙な噂も広がっていた。「赤い目は呪いの目で、彼女が嫌った者は不幸に見舞われる」というものであり、同じ小学校から進学してきた生徒たちが噂を広めていた。そのため、彼らは君島さんに近寄ろうとしなかった。この噂の背景には、小学校時代に彼女の周囲で数名の不幸な出来事があったことがあるようだった。

当時の私は「これは嫉妬による中傷なのだろう」と考え、彼女の美しさが人の妬みを買っているのだと理解しつつも、普通に彼女と接していた。クラスの大半の生徒も、噂を真に受けている様子はなかった。

しかし、入学から約1ヶ月後、君島さんに親しげに話しかけていた男子生徒が突然事故で亡くなるという出来事が起きた。私はその男子が亡くなる数日前に、君島さんが「授業中にまで話しかけてくるので少し困っている」と言っていたのを耳にしていたため、この噂が頭をよぎり、少なからず恐怖を感じた。

『気に入らない人を殺す』という噂を理性では否定していたが、どこかで君島さんを避けたい気持ちが生まれ、距離を取るようになった。他のクラスメートたちも同様で、次第に彼女の周囲から人が減り、君島さんは孤立していった。

翌年、中学二年に進級した際、再び彼女と同じクラスになった生徒たちは、彼女の赤い瞳を恐れ、距離を取る姿勢を強めた。隣の席になった生徒は、毎朝彼女の机から自分の席を少し遠ざけるなど、明らかに避ける態度を取っていた。

夏休みの登校日、私たちは防災訓練として避難経路を確認するために校舎内を移動していた。その訓練の途中、階段を下りている最中に、クラスの生徒が後ろから折り重なるように倒れるという事故が発生した。私は上の方にいたため大事には至らなかったが、下にいた数名は重傷を負った。その中には、いつも君島さんの席を遠ざけていた生徒も含まれていた。その生徒は最終的に意識不明のまま病院に運ばれ、やがて転校してしまった。

この出来事を契機に、クラス内での君島さんへの陰口はなくなり、皆が彼女を静かに避けるようになった。君島さんに対して直接的な攻撃をする者はいなくなり、どこか微妙に優しさを見せつつも距離を置くという独特の空気が漂った。

その後、中学を卒業するまでの間に大きな事件は起きなかった。君島さんは地元から離れた女子校に進学した。私も偶然同じ高校に進学し、またしても彼女と同じクラスとなった。

新しい環境でも、君島さんの赤い瞳は周囲の興味を引き、彼女の周りには多くの生徒が集まっていた。しかし、嫉妬からか、苛烈な悪口を言う者たちも現れた。特に女子校という環境では、同じ性別同士の嫉妬や悪意が顕著に表れることがあった。

梅雨の時期、君島さんの悪口を言っていた生徒の一人が突然授業中に倒れ、癲癇を発症した。そのまま休学することになった。その後、期末試験直前にはクラスのリーダー格の生徒が急性の白血病を発症し、入院することになった。この連続した不幸な出来事により、クラス全体の君島さんに対する態度は急変した。まるで彼女が存在しないかのように、誰も彼女に話しかけなくなった。

そんな中、高校二年生になった春、君島さんから突然声をかけられた。「また同じクラスだね、よろしく」と。私は驚きながらも「よろしく」と返事をしたが、その後も彼女との接触は避けていた。

期末試験が近づいたある日、帰り際に君島さんから手紙を渡された。その内容は、自分の存在を覚えていてほしい、という切実なものだった。彼女は「誰の記憶にも残らないのは、いなかったのと同じことだ」と訴えていた。

その夜、彼女の手紙を読み、私は彼女の様子が気になり、担任の先生に連絡を取った。結果として、君島さんは自殺未遂をしていたところを母親に発見され、病院に運ばれた。彼女は左目をはさみで突こうとし、次に手首を切ろうとしていたが、幸運にも命は助かった。そして、左目も失明を免れた。

その後、私は何度か病室を訪れ、彼女と話をするようになった。初めはぼんやりとしていた彼女も、次第に明るさを取り戻し、「この赤い目、どうすればいいと思う?」と私に問いかけた。私は「気にしないで。もう自分を傷つけるようなことは考えないで」と彼女を励ました。

二学期の途中で、君島さんの眼帯が取れた頃には、私たちは親しい友人となっていた。しかし、三学期が始まるとすぐに、私は高熱で倒れてしまった。39度から40度を超える高熱が続き、入院することとなった。医者も原因が特定できず、私は意識を失い、数日間昏睡状態にあった。

その間、君島さんが見舞いに来てくれたことを母から聞いた。彼女は「なんで?あやちゃんのこと大好きなのに、どうしてこんなことになるの?」と泣いていたという。そしてその翌日、彼女は再び左目をはさみで傷つけた。幸いにも命には別状はなかったが、左目はほぼ失明し、義眼を入れることとなった。

義眼を入れた君島さんは「黒い目になった」と言って、涙ぐみながらも嬉しそうに笑っていた。その笑顔には、これまでの苦しみから解放されたような安堵と、やっと普通の自分に戻れたという喜びが混じっていた。その後、高校を卒業し、私たちは同じ女子大学に進学した。今でも彼女とは親しくしている。あの赤い瞳のせいだったのか、それともただの偶然だったのかは分からないが、現在の平穏な生活が続く限り、それで良いのだと思っている。君島さんと過ごす時間が増えたことで、彼女の人間らしい一面をより深く知ることができた。かつての赤い瞳に対する恐れは今や過去のもので、彼女との友情がどれほど大切で尊いものかを実感している。

[出典:584 :赤目 :2005/12/06(火) 04:05:36 ID:blTXRow60]

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