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夢と現実 r+1261

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これは、ある友人から聞いた話だ。

彼は高校生の頃から奇妙な夢をよく見るようになったと言う。その夢は、ただの空想ではなく、まるで何かが彼に語りかけているような、生々しい予知夢めいたものや、妖怪のような存在が現れる異様なものばかりだった。だが、特に忘れられない夢がある。三日間続けて見た、一連の奇妙な夢だ。

一日目と二日目、夢の中で彼は誰かに命を狙われた。その都度、彼はなんとか襲撃者を返り討ちにし、殺してしまう。その感触と光景が、夢とは思えないほどリアルで、目が覚めた後も汗が止まらなかったという。

三日目の夢は、さらに異様だった。

──青く澄み切った遠浅の海。12歳くらいの赤い水着を着た少女が海水浴を楽しんでいる。砂浜では父親らしき男性が、バーベキューの準備をしながら、その様子を穏やかに見守っていた。しかし、彼がほんの少し目を離した瞬間だった。沖合から凄まじい速さで何かが少女に迫ってくる。

何かは、あっという間に少女に追いつき、その首を切り裂いた。切り裂いたのは刃物か、それとも別の何かか──彼の視点からは分からない。ただ、少女の首から吹き出す鮮血が波間を赤く染めていくのだけは、やけに鮮明に見えた。海辺の男性が異変に気づいて海に飛び込むも、少女を抱き上げたときには既に息絶えていた。

ここで場面が切り替わり、彼は突然喪服の一団の中に立っていた。その一団は、少女の葬列だった。皆が悲しみに沈む中、祖母と思しき女性が遺影を抱え、長い山道を登っていく。やがて一行は海に面した岸壁に辿り着いた。そこには波に削られた薄暗い洞窟があり、彼らはその中へ進んでいく。

洞窟の中は、無数の小石が積み上げられた小山や、赤い前掛けを着けた地蔵が並ぶ、賽の河原のような場所だった。彼はこの場所が少女の無念を鎮めるためのものだと、直感的に理解した。祖母が振り返り、遺影を抱えながら静かに言う。

「どうか、あの子の無念を晴らしてくださいね」

彼は自分がその役目を果たすためにここに呼ばれたのだと確信し、深く頷いた。

場面は再び変わり、彼は小さな漁船の上にいた。隣には海女のような女性が立っており、「怪物はこの沖にいる」と言いながら船を漕いでいた。緊張に包まれる中、彼の手には小さなナイフが握られていた。そして、沖合の海から黒い影が現れる。それは凄まじいスピードで彼らに迫ってきた。

その正体は──上半身が髪の長い人間の女、下半身が蛇。そして両腕が巨大なハサミのような異形の妖怪だった。妖怪は執拗に彼を狙い、鎌首をもたげながら襲いかかってきた。彼は夢中でナイフを振り下ろし、その首に深く突き刺す。妖怪は苦悶の表情を浮かべ、海の中に倒れ込んだ。

目が覚めると、右手は畳の上に振り下ろされていた。その異様な夢に彼はただ呆然としたという。

その後、奇妙なことが立て続けに起こる。遠くカナダの大学に留学していた姉が、首に腫瘍を患ったというのだ。その大学は曰くつきの場所で、かつてインディアンの子供たちが無理やり隔離され、命を落とした歴史を持つ建物だった。さらに姉の住むアパートも怪異が頻発する幽霊アパートで、毎晩のようにお経を唱えないと電球が割れるほどだった。

姉の腫瘍は手術でどうにか取り除けたが、後に霊能者に相談すると、驚くべきことを告げられた。

「お前の夢に出てきた怪物女は、最初お前に取り憑こうとしていた。しかしお前に三度返り討ちにされ、次にお前の姉に取り憑いたのだ。お前が夢で戦ったのは単なる夢ではない」

さらにその霊能者は、こうも言ったという。

「お前は言霊の力が強い。文章を書くと、それが何かを呼び寄せるかもしれない。気をつけろ」

以来、彼はあの夢のことを忘れようと努めているが、時折、夜中に目を覚ましたとき、ナイフを振るった感触がまだ右手に残っているような気がするという。

(了)

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