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短編 r+ ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

鍵のかかった部屋 rw+7,706

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2DKのアパートに妹と暮らしていた頃の話だ。

引っ越して数週間が経った雨の夜、私は一人で帰宅した。妹はまだ戻っていなかった。

玄関を開けると、左手にトイレ、正面に風呂場の扉と電気のスイッチがある。濡れた靴下が不快で、玄関で脱いで丸め、そのまま風呂場の方へ投げた。靴下は偶然スイッチに当たり、風呂場の電気がついた。

その瞬間、風呂場の中から裸の男が出てきた。

声が出なかった。頭が理解を拒んでいた。ただ、そこに人がいる。しかも裸で、うちの風呂から出てきた。それだけははっきり分かった。

男も私に気づいたらしく、動きを止めた。視線が合ったまま、時間が引き伸ばされたように感じた。次の瞬間、男がこちらに一歩踏み出した。

私は反射的にドアを開け、外へ飛び出した。

三階の階段を駆け下りる間、背後から裸足の足音がついてくる。振り返る余裕はなかった。ただ、下に、明かりのある場所へ逃げることだけを考えていた。

近くの店に駆け込み、助けを求めた。店員が警察を呼び、しばらくして一緒に部屋へ戻ったが、男の姿はなかった。

部屋は荒れていなかった。風呂場にも、誰かがいた痕跡は見当たらない。玄関の鍵も、壊された形跡はなかった。

私は確かに、鍵をかけて出ていた。

警察は首をかしげ、調書を取り、念のため周囲を調べてくれたが、結局その夜は何も分からなかった。侵入経路も、男の正体も。

後日、管理会社に問い合わせても、はっきりした答えは返ってこなかった。鍵は問題ないはずだという一点張りだった。

それでも、あの夜以降、部屋の空気が変わった気がした。帰宅すると、風呂場の扉がわずかに湿っていることがある。誰も入っていないはずなのに、鏡が曇っていることもあった。

妹には話していない。話せば、きっと「気のせい」だと言われる。

だから今も、家にいるときは風呂やトイレの扉を、ほんの少しだけ開けている。完全に閉めると、向こう側に誰かが立っている気がしてならないからだ。

あの夜、出てきたのが本当に人間だったのかどうか。
それだけは、今も分からない。

コメント

727: 怖すぎ。雨が降ってなかったら、靴下投げなかったら、スイッチに当たらなかったら…本当に想像するだけでゾッとするね。妹さんが帰ってなくて良かった。

728: ひええ鳥肌立った!とりあえず妹さんも、あなたも無事で良かったわ。うちも個人管理の古い物件だから、大家が頼まれなきゃ鍵を交換しないのよね。長年やってる大家さんって意識甘いとこある…。

730: 本当に靴下がスイッチに当たらなかったらと思うと…どうなってたか想像もしたくない。それ以来、私もトイレや風呂のドアを少し開けておくようになったよ。古い物件は怖いね。

731: 鍵交換しない物件って怖い。もし犯行が発覚しても、真っ先に前住人や合鍵を持ってる大家が疑われるはず。それでも泣き寝入りを確信して犯行に及ぶって…寒気がするね。

[出典:721 :おさかなくわえた名無しさん : 2016/07/08(金) 01:23:17.54 ID:GUa4NLeo.net]

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