会社の先輩と、同じ地元だと知ったのは入社してしばらく経ってからだった。
意気投合して飲みに行き、地元の怖い話をしようという流れになった。
話題になったのは「青い○○の家」だった。一家心中した家で、坊さんも匙を投げたと言われていた。その情報は先輩と共通していて、懐かしいなと思いながら聞いていた。
ただ、私が学生の頃はすでに窓に板が打ち付けてあったが、先輩の時代はまだ窓ガラスが割れたままで、普通に入れたらしい。先輩とは仲良くなかった同級生が四人、実際に入ったそうだ。
翌日その四人は教室で自慢するように言っていた。足音が聞こえた、仏壇が壊れていて右の扉にカッターの傷がびっしりあった、と。先輩は内心、その程度か、と思って聞いていた。
そのとき、隣にいた友人がいきなり鞄を持って立ち上がった。何も言わずに帰ろうとするから、先輩もついていった。
友人の家で理由を聞いた。
「霊感なんてないと思うけど、あの四人全員に黒いオーラが見えて、具合が悪くなった」
その夜は友人の家に泊まった。翌日、学校から電話が来た。友人の親が出て、しばらくして戻ってきた。
「○○と○○と○○と○○が亡くなったって」
四人全員だった。池で溺死していた。泥酔していたらしく、一人が落ちて残りも助けようとして、という話だった。波のない、さほど大きくもない池だった。
先輩の話を聞きながら、私は黙って携帯で調べた。その池での四人溺死は、先輩が高校生だった年に実際に起きていた。
帰り際、先輩が笑いながら言った。「その友達、今どこにいるか分かんないんだよね。連絡も取れなくなって」
私はそれに笑って返した。
翌朝、出社したら先輩が先に来ていた。いつも通りだった。私も「おはようございます」と言った。いつも通りだった。
ただその日から、先輩と二人になる場面が少し、怖い。理由を言葉にしようとすると、うまくできない。
[出典:887 :田舎者:2022/04/10(日) 14:16:57.76 ID:bo3/ubDK0.net]