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神隠しの町~呪われた祠の囁き r+5163

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三年前の夏の出来事

大学に入学して間もなく、親しくなった斉木と中島と共に、夏休みの暇を持て余し、斉木の親戚が経営する某山陰地方の民宿へ旅行に出かけることにした。二泊の予定だった。

町に到着し、夕暮れ時の風景を車窓からぼんやりと眺めていると、テトラポッド付近に集まっている古風な服装をした小学生くらいの集団が目に留まった。彼らはまるで昭和初期のような格好をしており、どこか異様な雰囲気を漂わせていたが、俺は「田舎だからこういうこともあるのだろう」と深く考えず、そのまま見過ごした。斉木も中島も何も言わなかったので、特に話題にすることもなかった。

民宿に到着すると、斉木の親戚であるおじさんとおばさんが温かく迎えてくれた。海の幸をふんだんに使った豪華な夕食を堪能していると、中島がふと切り出した。

「さっき海沿いを走ってたとき、小学生くらいの集団がいたろ?あれ、何か気味悪くなかったか?」

斉木はその光景を見ていなかったらしく、「何それ?どんな感じだったんだ?」と少し戸惑いながら聞いてきた。俺は一瞬迷ったが、「見たけど…うーん、特に変な感じはしなかったと思う」と答えた。

しかし、中島はさらに突っ込んで聞いてきた。

「あの子供たち、全員が道路の方を向いていたけど、顔が全然見えなかったんだよ。普通、あんな風に静かに整列しているなんて不自然だろ?」

俺は「中島は肝試しでもしたいのかな?」と半ば疑いながらも話を聞き流していたが、斉木は興味を持ったようで、その場の勢いでその場所にもう一度行ってみることになった。

夜の9時頃、車もほとんど通らない海沿いの道を15分ほど歩くと、意外とあっさりと「目撃現場」に到着した。テトラポッドのある海岸の手前には、何かの資材置き場のような広場が広がっていた。懐中電灯で照らしてみると、意外に広い空間であることがわかった。

中島は「だいたいこんな感じで向こうの山を見てたんだ」と言いながら、テトラポッドに乗って現場検証のようなことをし始めた。そのとき、斉木が広場の反対側の端を指さし、「おい、こっち来てみろ」と俺たちを呼び寄せた。

そこには、道祖神とも地蔵とも異なる、異様な石像が木造の祠の中に安置されていた。その石像は非常に古めかしく、高さは人の腰ほどまであり、苔むした表面に無表情で不気味な顔が刻まれていた。目はくぼんでおり、口元は微妙に歪んでいるように見えたが、それが何とも言えない不気味さを醸し出していた。周囲はきれいに整備されており、お供え物や御札も置かれていて、明らかに何か特別な意味を持っていることが伺えた。

俺が祠の横を歩いていると、林の奥から何か人の話し声が聞こえてきた。中島と斉木もそれに気づき、耳を澄ますと、かすかに「…る…待った」「…はた…よ」と、女性の声が繰り返し聞こえてくるのがわかった。

俺たちは不気味さを感じ、そろそろ引き返そうと思ったその瞬間、背筋に冷たいものが走った。まるで誰かに見られているような感覚が急に強まり、心臓が早鐘を打つ。声がこちらに気づいたようで、茂みがガサガサと揺れ始めた。さらに、その声は次第に赤ん坊の泣き声や動物の鳴き声のような音へと変わり、周囲から複数の音が聞こえ始めた。加えて、動物園のような獣臭まで漂ってきた。

さすがに洒落にならないと感じた俺たちは、斉木が「これヤバい!逃げろ!」と叫び、全員全速力で広場を抜け出し、民宿へ猛ダッシュで戻った。

民宿に戻り、息を切らしながら安堵していると、60代くらいのお爺さん二人と40代くらいのおじさん三人がこちらにやってきた。「お前らこんなところで何してる!○○に行ったんじゃないだろうな!?」と問い詰められた。正直に祠のところに行ったと話すと、お爺さんは真剣な顔で「何を見た、正直に言ってみなさい」と詰め寄ってきた。

その後、俺たちは公民館に連れて行かれ、神主さんも呼ばれた。俺たちは一体何が起きているのか分からないまま、事情を説明された。

それは昭和初期に遡る出来事で、出稼ぎ労働者が関与する惨劇があったという。その後、呪術を学んだ女性が数十年にわたって呪いをかけ続け、彼女が亡くなった後もその影響が町に残り続けているという話だった。俺たちはその「矛先」ではないが、念のため神社の敷地内で過ごすようにと言われた。

その夜、神社の建物で寝ていると、俺たちは共通の悪夢を見た。夢の中では最初、曇った空の下、小学生の集団が無表情で並んでいた。風が吹くと、草木が不気味にざわめき、その音が徐々に耳障りに変わっていく。

遠くから男たちの怒鳴り声が聞こえ、次第にその声は近づいてきた。突然、男たちが現れ、彼らは容赦なく子供たちに襲いかかる。子供たちの叫び声が耳を裂くように響き、周囲に漂う血の匂いと冷たい汗が夢の中でもリアルに感じられた。虐待の惨劇が繰り広げられ、それはまさに鬼畜の所業であり、俺はただその光景を見せつけられるしかなかった。目覚めた後、お互いに同じ夢を見たことを確認し、俺たちは神主さんに問い詰めた。

神主さんは、呪いが今も続いている可能性があると語り、俺たちはお祓いを受けることになった。その後、斉木の親戚からも「もうこの町のことは忘れろ、もう関わるな」と念を押された。

それ以来、俺や中島には特に変わった出来事は起きていないが、斉木は数ヶ月おきにあの女性が出てくる夢を見続けているという。その夢の中で女性は「もうすぐ来る」と繰り返し語りかけてくるらしい。

この呪いがどういうものなのか、その詳細は未だに明らかではない。しかし、あの町には何かが未だに存在している——そう感じざるを得ない出来事だった。

[出典:2007/06/08(金) 19:55:30 ID:y3/jMUxc0]

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