短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

神社コース【ゆっくり朗読】1500

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2週間ばかり前、晩に犬の散歩をしてて奇妙なことがあったんで書いてみるよ。

656 :本当にあった怖い名無し:2012/12/18(火) 00:12:52.74 ID:s57WDnQg0

雑種のクロという犬を飼っているんだけど、
それまで世話をしていた息子が中学生になり、部活で自分より遅く帰るようになったので、
それにつれて夕食の時間も遅れて、毎日散歩させる役目が回ってきた。

といってもそんなに長時間ではない。

自分は団体職員で、家に帰る時間は毎日ほぼ同じ。
帰って一息ついてから、6時半から7時くらいの間。

散歩のコースは、犬も飽きると思って3~4通り考えてローテーションしている。

これがやってみたら、座職の自分にはけっこういい運動になるとわかった。

その晩は神社コースをとった。

自分の家から15分くらい先に某有名企業の工場があって、わきに企業所有の野球場があり、
その三塁側ダッグアウトの後ろが少し林になってて、中に小さなお社がある。

何でも、昔はもっと大きな社殿だったそうだが、
自分らがこの地域に越してくる前に不審火で全焼てしまい、有志で小さな新社を建てたという。

球場のフェンスの外を曲がろうとしたとき、さらにその先の小路から車が出てきた。

危ないことはなかったんだが、ヘッドライトに照らされてボッと光ったものがある。

近づいてみると、曲がり角の球場のネットの内側に、1Lのペットボトルがある。

まあ珍しくもないんだが、口の部分まで液体が入ってまっすぐ立っている。

中には細長い紙のようなものと、黒く渦巻いた何かの塊が入ってるようだが、街灯の光が影になっていてよく見えない。

こんなところに猫よけというのも変だなと思ったとき、リードが強く引かれた。

見ると、クロが歯をむき出してうなり、後ずさりしている。

奇妙だなあと思いながらもその場を離れた。

それからクロの様子が変になった。

いつもはおとなしい犬だが、低い姿勢で警戒しているみたいだ。

何かの臭いをかぎつけているのかもしれない。

50mばかり行った曲がり角で低く「ウッ!」と、吠え声を飲みこむような音を立てた。
頭の先のほうを見ると、人家の生垣の中ほどに、枝に引っ掛かるようにまたペットボトルがある。

行って見ようと思ったけど、クロが近づこうとせずリードを強く引っ張る。

しかたなく近くの電柱につないで近寄ると、街灯があたってさっきよりよく見える。

液体は透明で、中にはやはり折りたたんだ細長い紙と、
何かそれほど大きくはない生き物のひとつづきの内臓?がゆっくり回っている。

ギョッとした。
ああ嫌だ見なければよかったと思った。

子どものイタズラかなにかで、内蔵は魚かカエルなんかのものだろうか。

とにかく気味が悪くなって、すぐ先にある神社までいく足を速めた。

犬を連れているので不浄かと思って、いつも神社の鳥居をくぐらないで引き返す。

その晩もそうしようとしたら、たくさん並んでいる赤い奉納鳥居の間を誰かが歩いてくる気配がする。

カサカサという足音のするその方向から目が離せなくなった。

最後の鳥居二本くらいまで来て姿がうっすらと見えてきた。

中年の女性で和服を着ている。
両手で重そうな布袋を前に提げ持っている。

布袋の上部にはペットボトルのキャップ部分が7・8本分見える。

その女性は近くまでくると、すごい厚化粧で顔は真っ白。
自分らの前をこちらを見ようともせずに通り過ぎた。

女性が角を曲がってからクロのほうを向くと、伏せの状態で小刻みに震えてた。

それから家に戻るまでの間クロは道端に二回吐いた。

クロはその晩、飯を食べず今にいたるで、何となく調子が悪そうで、ペット病院に連れて行こうかと思っている。

それからクロの散歩は神社コースはやめたので、あのペットボトルがどうなったかはわからない。

神社の噂をそれとなく周囲に聞いてみたが、これまで2回ほどボヤ騒ぎがあったという。

2回とも、遠くから炎が上がっているのが見えたので通りかかった人が通報し、
しかし消防が駆けつけると、何かが燃えたような跡は一切なかったんだそうだ。

わけがわからん。

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