中編 怪談

女縛りの柿の木【ゆっくり朗読】2300

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つい最近怖い体験してた、すごい話したいから書く。

14:本当にあった怖い名無し :2014/12/07(日) 02:08:46.98 ID:a1O+WaJk0.net

俺は自営業の手伝いしてんだけど、十二月の始めに長めの休日をもらった。

正月は忙しくなるので、いい機会だと思って、半年振りくらいに実家に帰った。

やっぱりこっちは雪が多いとおもったね。

次の日、家でゆっくりしてたら雪かきでもしろと言われ、俺もいい子ちゃんだから雪かきをしていた。

そしたら成り行きで、近所の老夫婦の家の雪かきも、することになったんだ。

雪かきは結構疲れるから老体にはつらい、老人には優しくする俺は快く雪かきしにいった。

「うぇーい、ばあさん!!この俺が雪かきしにきてやったぞ」

というとばあさんが「あ~あ~ヒヒッ」と言いながら乳母車引いて、外に出てきた。

俺の故郷は足が悪くなった婆は乳母車引いて歩く。

最近ボケ始めてきたらしいが、俺のことは覚えていてくれて少し嬉しかった。

俺が雪かき始めると、ばあさんは座って昔話を語り出した。

この婆は語り部っていうのか、よく村の児童館みたいな所にきて昔話をしていた。

最近はこの大きめな村でも小学生が五十二人しかいないそうで、児童館がなくなったからこの婆も語り部は辞めたみたいだけど。

とにかく昔話を話すのが好きなばあさんは、今日は俺の家について話し始めた。

いつもは、川向うの清助が腰ぬかしただの、あの山から鬼がきて悪い子をさらっただの、そういう話しかしないから少し興味を持ち、話を聞いた。

「なの家(お前の家)はNの姫が武士に殺された場所でな、呪われとる」

という話だった。(Nは俺の本家の苗字)

そんな話を祖母祖父からも聞いたことがあり、俺は好奇心が湧いて更に詳しく、聞きたいと思い、家にお邪魔することにした。

家はなんか石鹸みたいなにおいがした。

ばあさんは俺にココアを出した。

なぜか隣の家のばあさんと、その奥の家のばあさんも来て、三人の話を俺が聞く形になった。

ばあさん達の話は世間話が多く、あまり進まなかったからまとめるとこうなる。

150~200年くらい前だと思うが、その昔、N家(俺の爺さんの実家)は地主だか村長、だった。

その娘(姫ではない)はたいそう可愛いらしかったんだそうだ。

そんで、その娘は山に山菜を取りにいき、そこで数人の山伏と会い、大変失礼なことをしてしまった。

激怒した山伏はその娘を殺そうとしたらしい。

娘はがんばって逃げたけど、丁度俺の家あたりで首をはねられて殺され、その死体は柿の木に縛り上げられた。

それをみた地主はたいそう悲しみ、その土地に別荘を建てて、供養したり山に人を寄らせなくしたんだそうだ。

まとめるとこういった物語だった。

つっこみどころもあるが、色々心当たりがあり、なんだか俺はこわくなった。

だって俺の家の裏庭に柿の木があるんだもん。小さいけど。

話を終えて、その家を後にした俺は自分の家に帰るのが怖かった。

祖母にその話をすると、祖母はさらに俺の家について詳しく話してくれた。

この家には元々本家が住んでいたが、あまりにも呪われていたから、俺の祖父に家を譲ったらしい。

一回建て替えて現在築四十六年になる。

その呪いというのが、水気のない廊下が毎朝濡れていたり、主人が病気になったり、夜に砂利を踏む音が聞こえたり、犬がほえたり、子供をそこで育てると死ぬとか、なにより小さい納屋みたいな所から変な気配がするというものだ。

思い当たる節がおおすぎた。

砂利を踏む音を聞いたことはあるし、小さいときから納屋だけは近寄らなかったし、本家に婿入りした男は病気で死に、俺の爺さんも病気で死に、俺の父上も病気になった。

濡れてることに関しては次の日の朝、テレビをみる前に調べたら確かにほんのり湿ってた。

子供に関しては良くわからなかったけど、こりゃヤバイと思ったね。

そんなだから俺の母親は、兄が生まれる前に霊媒師だかに納屋を御祓いを、してもらったんだそうだが、

「手に負えない、もっとすごい人を連れてくる」

といったきりなんだそうだ。

そんなこともあってか俺は三歳まで別の実家で育てられた。

とにかく俺は怖くなって、一度もあけたことが無かった納屋をあけて調べてみることにした。

でもおれ一人じゃ何かあったら怖いから、丁度同じタイミングで家に帰っていた元ラグビー部の兄と、まだ学生の、小太りな弟の三人で納屋に突入することになった。

兄は金属バットと懐中電灯を持ち、俺はガスガンを装備し、弟はライト付きのビデオカメラを回す役割だ。

俺と兄はすごいビビリだったから、なぜか武器を持っていた。

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兄、俺、弟の順番で狭い納屋に入ることになった。

俺は入ってすぐ納屋の中を見渡した。

色々散乱していたが、目に付いたのは一番奥のつづらと白黒テレビと、レコードを再生する機械だった。

壁には昭和っぽいポスターが、貼られていた。(女性が何か持ってる絵、顔と手の部分が破れてよくわからんかった)

兄は物に邪魔されて先へ進めないようで、俺は出入り口付近で立ち止まるしかなかった。

肝心のビデオカメラを回してる弟が中に入れないでいた。

床を見ると昭和三十七年だかの新聞があった。

兄が一歩進んだので俺も一歩進む。

その時兄が悲鳴を上げた。俺もびびって下がったら、グニャリとしたものを踏む感触があった。

こけそうになって足元をみると、黒っぽい液体が靴に絡み付いていた。

ファァアアア!!

と、叫んで俺はすぐ後ろの弟に抱きついて納屋を出た。

そのあとから兄がもうダッシュして家に逃げた。俺もすぐに逃げた。

弟はたてつけの悪い納屋の戸を閉めてから来た。

家で落ち着いていた弟が兄から話を聞くと、兄はカァ~という女っぽい声が聞こえて、手をつかまれたと言っていた。

俺が液体のことを話すと兄はすごいビビッていた。

その後婆様からお叱りを受けた。

その時俺が

「でもあの柿の木、人縛れるほど大きいか?」

と言ったら、あの木は雷で一度折れたが、また生えてきたとのこと。

すごいけど、どこか恐ろしい柿の木だ。

俺はもう一日実家にいる予定だったが、怖くて自分のアパートに帰った。

道中はヘビメタを聴き、ゲームに没頭して恐怖を紛らわした。

アパートについてから一日後

兄から電話がかかってきた。兄は震えた声で「見た!」といってきた。

なんでも納屋を外側からみたら、窓に中からべったりと女が張り付いていたそうだ。

怖くて聞きたくなかったから電話を切った。

その後のことはよくわからないし、俺も納屋のアレがなんだったのかはまったくわからない。

俺の仮説では、あの納屋に霊が封じ込められているんだと考えている。

現実の話だからオチとかなにもないけど、書いたら恐怖心が薄れた気がする。

聞いてくれてありがとう。

21:本当にあった怖い名無し :2014/12/07(日) 04:53:52.85 ID:SBVZ+1aD0.net
光景が浮かんできて読みやすかった。
面白かったよ、もう一度行ってみてほしいなあ……

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