ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖いお話.net【厳選まとめ】

短編 r+ 怪談 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

駅前で拾った女がヤバかった rw+8813

更新日:

Sponsord Link

俺の先輩の話だ。

週末の夜、駅前で女に声をかけるのが習慣みたいになっていた人だった。狩る側のつもりで、笑っていた。
その日もすぐに一人つかまえた。小柄で、目が細くなるような笑い方をする女だったらしい。

軽い会話のあと、ドライブに誘った。しばらく走っていると、女のほうから言ったという。
「ねえ、もっと静かなところに行かない?」
先輩は内心で笑った。自分の“とっておき”の駐車場がある。夜は誰も来ない、だだっ広いだけの場所だ。

エンジンを切ると、急に静かになった。
そこで、何の前触れもなく、女が振り向いた。

先輩はよく覚えていないと言っていた。ただ、目が合った瞬間、女が瞬きをしていなかったことだけは、はっきり覚えているらしい。笑っていたはずの口元が、動いていなかった、とも。

次の瞬間、指が来た。

正確だったという。狙いが。
目の奥を抉るみたいに、ためらいなく。
視界が歪み、熱いものが頬を流れた。悲鳴を上げようとしたところで、首に何かが巻きついた。細い紐のようなものだったが、締まる力が異様だった。

小柄な体のどこに、あんな力があるのか分からなかった、と先輩は言う。
ただ、その時、女の呼吸音が聞こえなかったとも言った。

必死で抵抗し、キーケースの鍵を握って女の脇腹に突き立てた。
そのとき初めて、女は声を出したらしい。
人間の声ではなかった、と先輩は言った。

隙ができた瞬間、車から転げ出して走った。
振り返らなかった。

俺の部屋に飛び込んできた先輩の顔は、右目の瞼が裂け、首にはくっきり紐の跡があった。
話を聞いて、警察と病院に行くべきだと言ったが、先輩は首を振った。

「俺が疑われる」

それもそうだと思った。
結局、もう一人友人を呼び、三人で駐車場へ戻った。

先輩は金属バットを握って震えていた。

駐車場には車があった。
中を覗くと、シートに長い髪が何本も落ちていた。
ダッシュボードには乾きかけの血。

そして、先輩が急に黙った。

車内に置いていた公共料金の払い込み票が、なくなっていた。
一枚も残っていなかった。

それだけなら、持ち出されたのだと思えた。
だが、おかしいことがあった。

助手席の足元に落ちていたはずの封筒の切れ端が、きれいに揃っていた。
まるで最初から、そこに何も入っていなかったかのように。

「俺、あの票、ちゃんと出したっけ」

先輩がぽつりと言った。

俺は覚えている。
先週、うちのテーブルで「まだ払ってない」と言いながら、その票を財布から出していた。

先輩は自宅に帰らなくなった。
住所を知られたかもしれない、と言って。

結局、何も起きなかった。
少なくとも、表面上は。

ただ、一度だけ、妙なことがあった。

俺のポストに、公共料金の督促状が入っていた。
宛名は、俺の名前。
だが住所の一部が、先輩の部屋番号に書き換えられていた。

印字ではなく、ボールペンで。

そして、その紙の端には、細い紐の繊維のようなものが絡みついていた。

先輩は今も、俺の部屋にいる。
自分の住所を、思い出せないと言う。

狩るつもりだったのは、どちらだったのか。

俺はもう、夜の駅前を通らない。

[出典:188 本当にあった怖い名無し 2011/06/14(火) 16:30:15.83 ID:AJdfTkDm0]

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, r+, 怪談, ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間
-

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2026 All Rights Reserved.