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短編 山にまつわる怖い話

山岳救助隊【ゆっくり朗読】6905-0104

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おれのじいちゃんは、三ヶ月に一回は山に登る山好き。

それは十一月、東北のほうの冬山、名山といわれる有名な山だ。

ベテランのじいちゃんも、登り始めるときは強い緊張感に襲われる。

その時も、かなりの緊張とワクワクで気分が高揚していた。

朝の四時に登り始め、お昼に登頂する。

そして、午後四時には下山する日程を組んでいた。

朝四時の冬山はかなりひんやりとして静かで、じいちゃんは朝の山が一番好きだった。

その朝の冬山を満喫しながら登っていると、担架をもった山岳救助隊四人とすれ違った。

その救助隊は担架に何も乗せていなかったが、さも何かが乗っているかのように四人で担架を担いでいた。

じいちゃんは訓練か何かかと思い、「ごくろうさん」と一言かけてすれ違った。

その救助隊たちも頭を下げてすれ違っていった。

その後、なにごともなく無事に頂上についたが、予定を二時間ほどオーバーしていることにあせりを感じ、急いで下山を始めた。

中腹辺りにさしかかったころ、日は落ち始め暗くなりだした。

その時だいぶ遠くから、オレンジ色のものが登ってくるのが見えた。

「ん……救助隊か?」

なにか事故でもあったのか……

そいいえば、朝も救助隊にすれ違ったな。

思い返してみると朝すれ違ったとき、雰囲気がおかしかったな。

たいてい救助隊は、登山者と軽い会話をすることが習慣になっているが、四人はただうなずくだけだった。

しかもその四人は、朝すれ違った救助隊と同じように見えた。

少し無気味になったじいちゃんは、近づいてくる救助隊に恐怖を感じ始めた。

じいちゃんは、救助隊に思い切って話し掛けてみる事にした。

徐々に近づいてくる救助隊。ふと不審な点に気づいた。

担架に人が乗っている……

ありえない。担架に人を乗せて山を登ることなど、どうか考えてもおかしい。

顔が派別できるところまで来ると、じいちゃんは歩みを止めた。

朝すれ違ったのと同じ救助隊……

担架には明らかに人間が乗っているが、毛布が巻いてあって直接は見えない。

じいちゃんは意を決して話し掛けようとしたが、足が震え声も出なかった。

救助隊はじいちゃんの横を平然と通り過ぎて、頂上へ向かっていった。

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そこでじいちゃんは、直感的に感じた。

次は俺か……

あの救助隊が頂上から降りてくるときに、俺と鉢合わせたら大変な事になる……

いままでにないくらい急いで下山を始めた。

登山は登るよりも下山するほうが危険という基本も忘れて、ただただ急いだ。

だがいくら登山好きとはいえ、老いたからだでそんなに早く下山できるわけもなく、すぐにペースダウンし、じいちゃんも冷静に考え始めた。

俺の思い込みだ。

そんな話があるはずもない。訓練で山を上り下りしてるだけだ。

冷静にならないと取り返しのつかない事故になるぞ。

自分にそう言い聞かせ、ゆっくり下山を始めた。

順調に歩いていると、後ろに嫌な気配を感じ振り返った。

救助隊だ……担架を担いで、後ろを下山してきている。

じいちゃんは意識しないようにして、平然と彼らをやり過ごす事にした。

だが、近づいてきてるのを考えると、足が震え今にもちびりそうだった。

救助隊は、前と同じように何もいわないで、静かに異様な雰囲気を漂わせながら、じいちゃんの横を通り過ぎていった。

担架に何か乗っている……

その時じいちゃんは、はっきりと担架に乗っているものを見た。

じいちゃんは、それが何なのかを最後まで教えてくれなかった……

599 :本当にあった怖い名無し:2008/01/23(水) 00:03:15 ID:PCndGtF20

(了)

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