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奇妙なアパート r+5294

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これは、夜の仕事をしていた二十歳の女性から聞いた話だ。

彼女はその当時、同じ店で働く一つ年上の女性とアパートで同居を始めたのだが、その住まいが奇妙な出来事の舞台となったらしい。


繁華街に近い二階の一室、鉄筋三階建てのそのアパートは、間取りも家賃も申し分ないもので、初めての一人暮らしにもぴったりだった。引越し初日、彼女は用事があって実家に戻り、同居人だけをその部屋に残した。そして翌日、昼過ぎに戻ると、同居人はベッドから出ようともせず、ひどく怯えた様子だったという。

彼女は語った。同居人は、夜中ずっと和室から「カリカリ」「コリコリ」と何かを引っ掻くような音がして、朝まで眠れなかったのだと。あまりに怯えていたので、「ねずみだろう」と答えたが、どうも納得しない様子だった。同居人はその日から熱を出し、寝込んでしまった。

日が経つにつれ、彼女にもその音が聞こえるようになった。しかし、夜遅くに帰ってきて酔っていた彼女は、その「カリコリ」という音を気に留めることなく眠った。

八日目の朝

外が妙に騒がしく、眠りから目覚めた。インターフォンを鳴らす音がやけに耳に残る。ドアを開けると警察が立っており、「上の階の住人が亡くなっていた」との知らせだった。遺体はかなり時間が経っていたらしく、室内には強い腐敗臭が漂っていたという。だが、その後、同居人は有無を言わさずアパートを去り、そのまま姿を消してしまった。

一人残された彼女は、気にせずそのアパートに住み続けることにしたが、奇妙な出来事はさらに続いた。新しい彼氏を招き入れた夜、彼が「和室から変な音がする」と指摘した。「歯ぎしりのような音がする」と真剣な顔で言う彼に、彼女も次第に気味悪さを感じるようになった。やがて彼も足が遠のき、再び一人暮らしに戻った彼女は、相変わらずの「カリカリ」という音と共に生活を続けた。

ある夜、隣室から人の声がするのに気がついた。

その部屋は空室のはずだ。不審に思った彼女は、窓越しにそっと身を乗り出し、隣のベランダに向けて小さな物を投げて音を立てた。すると、女性の声がぴたりと止まり、代わりに「ググゥ」「ググググ」という不気味なうなり声が聞こえてきた。

その音は窓の外から、次第にベランダに近づいてくる。冷や汗を浮かべた彼女がふとガラスに目を向けると、髪の毛のような黒い物がガラスに映り、まるで首をかしげるように動いたという。恐怖に駆られ、寝室に逃げ込んだ彼女はその夜一睡もできずに過ごした。

翌日、大家に事情を伝え、隣室を確認してもらうことにした。だが、鍵はかかっており、不審な形跡はなかった。ただ、室内の壁一面に無数の虫の死骸が絡みついていた。大家は苦笑いを浮かべて「掃除はしたはずなんだが」と言うばかりで、彼女も昨夜のことを口にする気にはなれなかった。

ある日、仕事から戻ると、玄関先が水浸しになっていた。

天井から黒い亀裂が走り、そこから水が漏れていたのだ。酔っ払っていた彼女はさほど気にせずトイレに向かったが、便器の蓋が真っ二つに割れているのを見て、さすがに身の危険を感じた。翌日、大家に連絡すると業者が駆けつけ、配管を調べたが、破損は見当たらなかった。構造上、水が漏れることはありえないと言われ、疑念を抱きつつもそのまま住み続けることにした。

そんな彼女も、やがて引越しを決意する出来事が起こった。久々に集まった高校時代の友人たちと彼女の部屋で過ごしていた夜、再び和室から妙な音がしたのだ。友人たちが様子を確かめに行こうとしたところ、今度は洋室で「ドーン」という壁を叩く音が響き、彼女たちは恐怖のあまり逃げ帰ってしまった。

翌日、彼女も体調を崩し、高熱が出てしまった。その夜、母親に付き添われて横になると、深夜に階段を駆け下りる音と女性の悲鳴が聞こえた。彼女は慌てて飛び出そうとしたが、母親が「行ってはダメ」と腕を掴んで止めた。しかし後から聞いた話によれば、母には叫び声も足音も聞こえていなかったという。

彼女が最終的に引越しを決意したのは、上の階で過去に死体が見つかった部屋の畳の裏に無数の引っかき傷が残されていたという話を大家から聞いたときだった。その後、彼女は実家に戻り、件のアパートから完全に離れることになったという。

それから何年かして、彼女の姉が同じアパートに住むことになったそうだが、不思議なことに、姉の身には何も起こらなかったという。

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