志那羽岩子です。以下の投稿をした者です。
この話を公開するかどうか、正直に申し上げて長いあいだ迷っていました。というのも、これは私自身の体験ではなく、十数年前に個人が運営していた実話系怪談掲示板に投稿されていた内容をもとにしているからです。その掲示板はすでに閉鎖され、現在は閲覧することができません。
私は以前から怪談蒐集を趣味にしており、本当に怖いと感じた投稿は、消えてしまわないよう自分の手元に保存していました。問題の書き込みもそのひとつです。
原文はかなりの長文で、投稿者は当時中学生だったようです。意味は十分に伝わるのですが、文章に不慣れな印象があり、改行や構成が整理されていないため、正直なところ読みにくい部分も多くありました。
そのため、あくまで自分が読みやすくする目的で、タイムスタンプや冷やかしのコメントなど本筋に関係のない部分を削除し、体裁を整える形でリライトして保存していました。
内容そのものには手を加えていません。表現は拙くとも、自分が体験した恐怖をどうにか伝えようとする真摯さが行間から伝わってきて、その姿勢に強く心を打たれたことを覚えています。思わず感謝と応援の返信コメントを書き込んだほどでした。
その後も彼女は何度か恐怖体験を投稿していましたが、ある時を境に突然投稿が途絶えます。最後の書き込みがあまりにも意味深な内容だったため、当時その掲示板を見ていた人々の間では大きな騒ぎになりました。今では知る人ぞ知る出来事となっています。
今回、この話を怖い話サイトで公開することにしたのは、いくつか理由があります。
第一に、掲示板が閉鎖されたことで、この一連の投稿は事実上埋もれてしまったことです。あのとき確かに存在していた記録が、このまま誰の目にも触れず消えていくことに、どこか引っかかるものがありました。
第二に、当時の彼女の投稿には、創作か実体験かを超えて、人が恐怖に直面したときの生々しさが刻まれており、それ自体が一つの貴重な記録だと感じたからです。
そして第三に、最後の投稿が未解決のまま途絶えている以上、この話は終わっていないという感覚が、今もどこかに残っているからです。
もちろん、公開することが正しいのかどうかについては今でも断言できません。ただ、誰かが記憶している限り、その出来事は完全には消えないとも思っています。そうした思いから、あらためてここに記すことにしました。
[志那羽岩子 ◆PL8v3nQx6A]
ほんとにあったことです。
214 :月うさぎ ◆x7J8mY2Q:2004/03/14(日) 21:47:18 ID:Kx4nLpZe
文章うまくないです。変だったらごめんなさい。でも嘘じゃないです。がんばって書きます。
この話、ずっと誰にも言えませんでした。
口に出したら、本当にそうなっちゃう気がして。
最近、自分の部屋の鉢植えを見るのが怖くなってきて、やっぱり書こうと思いました。
駅の前に新しくできた温室のことです。
ガラスばっかりで、昼間はすごくきれいで、あったかくて。植物が好きなんで、学校の帰りによく寄ってました。夕方はちょっと安くなる時間もあって、それ目当てだったりもしました。
最初は普通でした。
でも、管理の人が変わってから、なんかおかしくなりました。
背が低くて、色が白くて、手がすごくきれいな人でした。怒らないし、ベンチで寝てるおじいさんに毛布かけたりしてて、やさしい人なんだなって思ってました。
あと、誰もいないのに紙コップに水を二つ用意して、ひとつを横の空いてる場所に置いたりしてました。最初は気にしなかったです。
でも、奥の機械がある場所で、ブツブツ話してることがあって。
点検かなって思ったけど、違いました。
その人、機械じゃなくて、横の何もない空間を見てました。
途中で黙ったりして、なんか返事を待ってるみたいで。
一回だけ、聞いたことがあります。
「誰かいるんですか」って。
そしたら、「気にしないで」って言われました。
そこ、ほんとに誰もいなかったです。
それからです。温室が変になったのは。
私が入るときだけ、変な匂いがしました。
土の匂いじゃなくて、濡れた鉄みたいな匂いです。鼻の奥がつんってする感じで。
あと、外から中をじっと見てる人がいました。入ってこなくて、ガラス越しにずっとこっちを見てました。顔はよく見えなかったです。
セールの日に、少し遅くまで残ったことがあります。
怖かったけど、なんか気になって。
奥のほうで、葉っぱを撫でるみたいな音がしました。サワ、サワって。
管理の人の声もしました。でも、誰かとしゃべってる速さでした。ひとりでしゃべってる感じじゃなくて。
私、顔あげられなくて、足元だけ見てました。動けなかったです。
そのとき、土の上に、靴のあとが増えていくのが見えました。
音はひとつなのに、跡は二つありました。
片方だけ、深く沈んでました。そこから水がじわってにじんでました。
そのとき、すぐ後ろで声がしました。
「まだいたんですね」って。
振り向いたら、その人がすぐ近くに立ってて、笑ってました。
でも、奥を見たら、機械の前にもその人がいました。
後ろ向きで、誰かに頷いてるみたいでした。
後ろにいるその人が、小さい声で言いました。
「見られると、増えるんで」って。
気づいたら、外に出てました。
奥には一人しかいませんでした。
出口のマットに、泥の跡が二つ並んでました。片方だけ濡れてました。
それから、その人はいなくなりました。
奥の扉も閉まってて、入れなくなってました。
この前、駅でその人を見ました。
普通に歩いてました。元気そうでした。
声をかけられました。
「最近行ってませんよね」って。
行ってないですって言ったら、安心した顔をして、
「見られると、増えるんで」って、また言いました。
それから、行ってません。
でも、夜になると、部屋があの鉄みたいな匂いがするときがあります。
水あげてないのに、鉢植えの土が少し盛り上がってるときがあります。
気のせいかもしれません。
もし家に植物ある人いたら、土を見てください。
なんにもなければ、それでいいです。
本当に、それだけです。
089 :月うさぎ ◆x7J8mY2Q:2004/03/22(月) 20:15:42 ID:Hu7mQwVr
前の投稿の続きです。
もう書かないほうがいいと思いました。
でも、何も言わないままだと、もっと変なことになりそうで。
昨日あったことを書きます。
夜、親が寝てから、鉢植えを捨てようとしました。
部屋に入ったら、あの匂いがしました。前に書いた、濡れた鉄みたいな匂いです。前より強くて、息がしづらかったです。
鉢を持ったら、すごく重かったです。水なんてあげてないのに、土が湿ってました。
下から黒っぽい水も出てました。
袋に入れようと思って持ち上げたとき、土の一部が少しだけふくらんでました。
ほんのちょっとです。でも、中から押してるみたいでした。
怖くなって、手が震えて、鉢を落としました。
割れて、土が全部こぼれました。
その中に、白いものがありました。
最初は根っこだと思いました。
でも、違いました。
形が、変でした。
ちゃんと見たくなくて、すぐ目をそらしました。
でも、見ちゃったと思います。
小さくて、ばらばらで、いくつもありました。
数は分かりません。
動いてたかどうかも、はっきりしません。
でも、土がこすれる音がしました。
ザッ、ザッって。何回も。
声みたいなのも聞こえた気がします。
言葉じゃないです。意味は分かりません。
でも、同じ感じの音が重なってました。
そのとき、思い出しました。
「見られると、増える」って。
ここに書きました。
読んだ人、いますよね。
想像した人もいると思います。
だから、増えたのかもしれないって、今は思ってます。
部屋から逃げました。ドアを閉めました。
今も開けてません。
中から、まだ音がします。
ずっとじゃないです。
ときどき止まります。
止まると、余計に怖いです。
さっき、ドアノブが少し動きました。
気のせいかもしれません。
これを書いてる間も、何か音がします。
もう、あんまり詳しく書きたくないです。
書くと、はっきりしちゃいそうで。
もし部屋に植物がある人がいたら、
土を見ないほうがいいです。
確かめようとするのって、それって、見ることになると思うから。
私はちゃんと見てません。
見てないはずです。
でも、なんでか、数だけは増えてる気がします。
次に書けるか分かりません。
もし急に何も投稿しなくなったら、
それは、何もなかったからじゃないです。