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中編 r+ ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

笑う少女たちの完全犯罪 r+9094

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これは、とある県立高校に通っていた女性から聞いた話だ。

彼女が通っていた高校は、女子が圧倒的に多く、男子の比率は3割ほどしかいなかった。そこそこの競争率、穏やかな学内の空気。誰もが問題なく過ごせる普通の学校に見える。

しかし、実際には女子同士にしか通じない、暗黙の掟があった。男子には理解されないが、女子たちだけが意識するその「掟」は、入学と同時に、さりげなく周囲から教え込まれる。

たとえば、無理にでも仲間意識を演じること。仲間意識といっても、本気で心を許してはいけない。相手が何かを発言すれば、それがどれほどの的外れでも反論してはいけない。

また、誰かを褒める時も、暗黙のルールがある。もしそれが実際にはさほど美しくない女子であれば、彼女に「かわいい」と称賛を贈るべきだ。逆に、本当に美しい女子であれば褒めすぎてはいけない。ヒエラルキーを維持するためだ。

そして、男子と話す際にもルールがある。万が一、相手に恋人がいると分かれば、即座に距離を取らなければならない。それが女子同士の「礼儀」であり、暗黙の「掟」なのだ。

Aさん(仮)は、その掟を知らないわけではなかった。

控えめで物静か、しかし芯はしっかりしていて、友人から見ても「いい子」だった。しかし、世間にあまり染まらない、ある種の純粋さが彼女にはあった。入学当初から、クラスメイトと共に過ごしていた彼女だったが、ある日、「告白されちゃった」と顔を赤らめながら打ち明けてきた。

その一言に、彼女の友人は驚き、そしてわずかな不安を感じた。「誰?」と聞いても、Aさんは「つりあわないと思うし、恥ずかしいから」と相手の名前を言わない。友人は、不慣れな恋に動揺しているだけだと考え、応援した。そして背中を押した。

「自信を持っていきなよ。君は思っている以上に魅力的なんだから」。それから数日、Aさんから「これからよろしく!だって」と喜びのメッセージが届き、友人は祝福した。

だが、ここで名前をはっきりと聞いておくべきだったのかもしれない。

その数日後、Aさんは再び連絡をしてきて、ようやく告白を受けた相手の名前を明かした。

○○君――。それは、学校中の女子たちが口をそろえて憧れる、男子の最高ヒエラルキーに君臨する男子だった。その美しさは、たとえば「滝沢秀明と仲間由紀恵を合わせて割ったようなルックス」とまで称されるほど。彼が校内を歩くと、春夏秋冬どんな季節であっても、周りにさわやかな空気が流れるようだとさえ言われていた。

その○○君に親しげに接する女子は、一目で「場違い」と判断され、即座に村八分にされてしまう。そして実際、これまでに○○君と親密になろうとした女子のうち、卒業まで無事に過ごせた者は一人もいなかった。二人は精神病院送りとなり、一人は転校、もう一人は登校拒否になっているという噂もあった。

そのような「禁忌」を侵してしまったAさんは、すぐに陰湿な嫌がらせを受け始めた。

ある朝、登校すると、彼女の机の上は汚物でぐちゃぐちゃにされ、引き出しの中には大量の生理用品が詰め込まれていた。トイレに入れば、上からガムが投げ入れられる。そして、家に帰れば、家の壁には罵詈雑言が書き殴られ、消しても消しても同じように汚されていた。

さらに、Aさんの友人関係も急激に変化した。それまで多くの友人に囲まれていた彼女だったが、○○君への告白が発覚して以降、誰も彼女に近づかなくなったのだ。友人の彼女が声をかけようとすると、周りは冷たい視線を送るようになった。

こうした陰湿ないじめに、次第にAさんの顔色は悪くなり、体調も優れない日が続くようになった。時折、友人と顔を合わせることはあっても、Aさんの瞳に明るさは戻らず、表情には疲れがにじんでいた。

そんな生活が続き、受験シーズン真っただ中となったある冬の日、友人はその日を思い出すと、いまだに後悔の念を抱かずにはいられないという。

その日、友人は進路面談があり、Aさんは遠方に住んでいたため、いつも通り早めに帰ることになっていた。別れ際、Aさんは「またね」といつものように手を振り、友人はそれに応えた。しかし、その夜、友人のもとにAさんの母親から電話が入った。

電話越しの母親はひどく動揺していた。「娘が……路地裏で暴行を受けたんです」と震える声で語り、すぐに病院へ向かった。Aさんは顔面蒼白で、両手足の靭帯が切られ、声帯も傷つけられ声を出せない状態だった。まさに面会謝絶の状況で、友人は彼女の姿を見ることすらできなかったという。

その後の調査で犯人は未だに不明だったが、周囲には「完全犯罪成立」と笑い声を上げる女子たちがいた。彼女たちは「○○君崇拝グループ」とでも呼ばれるべき存在で、Aさんを排除するためにあらゆる手段を取っていたのだ。

そして驚くべきことに、Aさんの靭帯を切り、声を奪ったのは、グループに属する女子生徒たちであることが噂されていた。彼女たちは○○君のため、そして自分たちのヒエラルキーを守るために、容赦なくAさんを傷つけたのだ。

だが、○○君本人は、この事件の真相を知る由もなかったし、他の女子たちも「誰がやったのか」を知っていても口をつぐみ、何も語ろうとはしなかった。

結局、誰一人としてその事実を告白する者は現れず、Aさんは永遠にその苦しみを抱え込んだままだ。

話を語ってくれた女性は、同じ女子という存在があまりにも恐ろしく感じられると言った。動物としての本能が表れたその容赦のなさ、目的のためには平気で倫理や道徳を踏みつけにする、そんな冷酷な一面がある。そして、彼女は誓いを立てた。同じ女子の恐ろしさを知り、いつか「鉄槌」を下す日が来るために、自身を高め、ある目標に向かって突き進むことを決めたのだという。

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