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睡眠障害 r+3144

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これは、ある男性から直接聞いた話だ。

2008年、仕事の都合で引っ越した先は、駅から少し離れた家賃33,000円のマンションだった。不動産屋は「家具付きでこの価格はお得ですよ」とやけに推してきたが、その時は「ラッキーだ」としか思わなかったという。

実際に住んでみると、妙に住人の出入りが激しいことに気づく。夜遅く帰宅しても、廊下で誰かとすれ違うことはほとんどなかった。奇妙な静けさ。けれど、そんなことに気を留めることもなく、彼は新生活を始めた。

最初の違和感は時計からだった。置き時計が次々に壊れ、時間が狂う。新品を買っても数日でおかしくなり、アラームをセットしていないのに「ジリリリッ」と一瞬鳴る音に目が覚めることもあった。七つ買い替えたうち、動いているものは二つだけになった。

それだけではない。住み始めてすぐ、体調が急激に悪化した。頭痛、吐き気、倦怠感に襲われ、眠りが浅くなる。医者を何件も回り、ようやく「睡眠相後退症候群」と診断されたが、症状は改善しなかった。

マンションのロビーから廊下にかけて設置された大きな鏡が、特に気になり始めたのはその頃だ。ある日、目の端に映る黒髪の女性に気づいた。前髪をピンで留めたセミロングの女性。何度も視界の端に入るが、振り向くと誰もいない。その女性が出るのはいつも鏡の近くだけで、廊下や部屋には現れない。

疲れのせいだと思い込もうとした。けれどある時から、パソコンの挙動がおかしくなった。設定が勝手に変わったり、使用時間が異常に長かったり。父親に相談すると、「これ、1年半前に買ったよな?どうしてこんなに使い込まれてるんだ?」と言われた。身に覚えのない数字に、背筋が冷たくなった。

ある朝、金縛りにあった。もう慣れた現象だと半ば諦めていると、「起きなさい、起きなさい、起きなさい……」という声が頭の中に響いた。耳ではなく、脳に直接届く感覚だった。目を開けると、部屋には誰もいない。気のせいだと思い込みたかったが、どうしても「彼女」の姿が頭をよぎる。

「これはさすがにおかしい」と思った彼は、大家に相談しようと決めた。「前に住んでいた人、どんな人だったんですか?」と聞くつもりだった。ただ、心のどこかで答えが予想できてしまうのが怖かった。「セミロングの黒髪の女性でしたよ」と言われたらどうしよう……。

結局、その質問を口に出せないまま彼は引っ越しを決めた。その後、あのマンションに何があったのか知ることはできなかったという。彼は今も、自分の症状や体験が病気によるものだったのか、あの部屋に住んでいたからなのか、答えを見つけられずにいる。

[出典:398:本当にあった怖い名無し:2011/06/29(水) 20:21:07.64 ID:WLwiZ1YC0]

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