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短編 r+ ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

試食だけでいい rw+7,082

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今から五年ほど前、俺は学生アルバイトでテレビゲーム屋の店員をしていた。

その日は休日だったが、客の入りは悪く、店内には店長と俺と、もう一人のバイトしかいなかった。雑用を片付けていると、ツナギ姿の中年男が一人、店に入ってきた。

店長が「いらっしゃいませ」と言い終わる前に、男はレジ前まで来て口を開いた。

「あの……メロン、買いませんか」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。男は東北から来た業者で、安く売れるメロンがあるという。店長は即座に断ったが、男は引き下がらず、試食だけでもしてほしいと言い出した。

「美味しかったら買ってくれ。そうじゃなかったら買わなくていい」

そこまで言われ、店長は渋々了承した。男は一度外に出ていき、数分後、メロンの箱とまな板、そして大きな包丁を持って戻ってきた。

包丁を見た瞬間、背中に冷たい汗が流れた。男は気にした様子もなく、箱からメロンを取り出し、その場で切り始めた。手つきは不器用だったが、刃だけはやけに滑らかに実が割れていった。

嫌な予感がした。

一口大に切られたメロンを、店長ともう一人のバイトが口にする。俺も断れずに食べた。甘さはなく、口の中がピリピリと痺れた。三人とも無言だった。

結局、買わないと伝えると、男の目が変わった。包丁を握ったまま、一個三千円だと言い出す。店長が断ると、男の顔は赤くなり、呼吸が荒くなっていった。

それでも男は突然、分かったと言った。

「帰る。その代わり、メロンの箱を外まで運んでくれ」

妙だった。持ってきたのは男一人だ。誰も動かなかったが、子供連れの客が入ってきたのを見て、俺が箱を持つことにした。

店の前には古いバンが停まっていた。男が後部ドアを開ける。

中は空だと思った。

だが、奥にもう一人、同じツナギ姿の男が座っていた。目が合った瞬間、背筋が凍った。

箱を置き、すぐに離れた。背後でドアが閉まる直前、車内から舌打ちが聞こえた。

バンはそのまま急発進し、町の中に消えた。

今でも分からない。
あのメロンは売り物だったのか。
それとも、最初から別の目的があったのか。

ただ一つ確かなのは、あの時、何かが起きる寸前だったという感覚だけだ。

[出典:125 名前:あなたのうしろに名無しさんが…… 投稿日:03/02/09 21:33]

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