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ガラスの中の人 r+1120

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これは、ある女性が学生時代に体験した奇妙な話だ。

彼女が住んでいた街には、古くからカトリック系の女子大学があり、その建物の荘厳さと静寂さが特徴だったという。彼女の母親はその大学の講師を務めており、母の仕事に伴ってキャンパスに足を運ぶことが少なくなかったらしい。

ある日のこと、彼女は母親に連れられ、学生服姿のままキャンパスを訪れた。普段ならば賑やかなはずのキャンパスは、その日は異様なほど静まり返り、まるで人々が忽然と消えたかのようだった。学生たちの姿はなく、わずかな職員とシスターがぽつりぽつりと見えるだけ。母は会議に出席するため、彼女を一人残して会議室へと消えていった。

中学生の彼女は、普段は図書館で時間を潰していたが、その日は何かに突き動かされるように校舎の中を歩き回った。ガラス張りの建物の外壁が、外の景色を鏡のように映し出している。彼女はその光景を眺めながら、建物の周囲を歩き始めた。

すると、ガラスに映る自分の後方に、もう一つの人影があるのに気づいた。その影は、自分と同じ学生服を身にまとっていた。不思議に思って振り向いたが、背後には誰もいない。不安を覚えながらも再びガラスを覗き込むと、その影は確かに存在し、しかもこちらをじっと見ていた。

突然、その影が物凄い勢いで走り出した。奇妙な走り方で、手を大きく振り、こちらへ向かってくる。その瞬間、全身が凍りついたように動けなくなった。「あれは何だ?」と恐怖が胸を締め付ける。背後を振り向くが、そこにはやはり誰もいない。それでもガラスの中の影は止まることなく、一直線に彼女へと迫ってきた。

目を凝らしてその影を見つめると、驚愕の事実が明らかになった。それは彼女自身だった。髪型も顔も、着ている制服も、自分と全く同じ。だが、ただ一つだけ違っていた。ガラスに映る「もう一人の彼女」は、不気味なほど歪んだ笑顔を浮かべていたのだ。

その「彼女」は、ガラスの中で目の前まで駆け寄ると、すれ違うように彼女の横を通り過ぎ、笑顔のままガラスの向こうの景色へと走り去っていった。現実の彼女は身動き一つ取れず、ただその異様な光景を凝視することしかできなかった。

その後、彼女は母親の元へ駆け戻り、必死にこの出来事を訴えたが、信じてもらえなかった。職員やシスターたちにも話したが、誰も取り合おうとしなかったという。

あれから数年が経ち、彼女の身にこれといった異常は起こっていない。病気や事故にも見舞われず、平穏な日々を過ごしている。しかし、あの日ガラスに映った「もう一人の自分」は、一体何だったのか。彼女の記憶には今も鮮明に残り、世の中には説明のつかない何かが存在しているのだと、時折思い返しているという。

ドッペルゲンガーを見たのだろうか。それとも、あの場所に潜む何かの悪戯だったのか。答えは未だわからない。

[出典:627 本当にあった怖い名無し New! 2011/08/15(月) 11:34:57.94 ID:GCRQn94v0]

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