石垣を作るため、山で石を拾っていると、積んだ石の一つが不自然に割れた。
中から出てきたのは、干からびた鼠の死骸だった。
石の表面に穴はない。割れ目も、今できたものにしか見えない。
気味が悪くなって、一緒にいた祖父に見せた。
祖父はしばらく黙ってそれを見下ろし、顔をしかめた。
そして、吐き捨てるように言った。
「……外道の生まれ変わりだろうな。出ることも動くこともできんまま、石の中で生きるやつもいる」
断定というより、言い慣れた言葉を思い出したような口調だった。
真偽を確かめる様子もない。
「遠くへ捨ててこい」
それ以上は何も言わなかった。
言われた通り、谷の向こうまで運んで捨てた。
戻る途中、割れた石の残りを振り返ったが、もうどこにあったのか思い出せなかった。
最初から、あの石がそこにあったのかどうかも。
(完)
[出典:617 :本当にあった怖い名無し:2010/01/25(月) 00:00:16 ID:i34bbOKn0]