短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

右肩の女【ゆっくり朗読】1400

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夏休みの部活中に起きた怖い話

293 :本当にあった怖い名無し:2021/08/12(木) 20:45:30.37 ID:fIJBMmaO0.net

県内で結構強豪の柔道部。

ある先輩が朝校庭に現れた瞬間、いやなものが見えちゃうタイプの友人がヒィっと息を飲んだ。

霊感なんかさっぱりない自分も空気がゾワっとじめついたのを覚えている。

強いが鈍感な先輩は、そんな自分たちを見てどうしたときょとんとした顔。

友人が「先輩…もしかしてアソコ通りました?」と尋ねた。

アソコとは学校に来る途中の古い踏切、ほとんど電車が通りっぱなしのいわゆる開かずの踏切ってやつ。

朝のラッシュ時は特に、生徒は少し離れた地下スロープをいつも利用している。

不便さとは別に、よく幽霊が出るって噂されてるから忌避しているってところもある。

しかし図太い先輩は、たまたま遮断機が上がっててラッキーって思ったらしく迷うことなくそこを通って来たらしい。

「なんか変?」と尋ねる先輩に、友人が彼の右肩を指差して言った。

「肩に女の人乗ってますよ」

ここまではよくある夏の怪談だ。

しかしその後、先輩が奇妙な行動を取り出した。

いきなり一心不乱に校庭を囲うざらざらなブロック塀に右肩を押し付けザリザリやり始めた。

あっけに取られる友人と自分。

練習中は右肩に衝撃が行くように受け身を何度も取り、休憩に入れば上半身裸で濡らしたタオルでバシーンバシーンと右肩を何度も打つ。

昼休みはいつも会話の中心の先輩がスマホ片手にフラフラとその場を離れる。

心配した友人が「どこ行くんですか!?」と問い掛ければ、先輩はニカッと笑って、幽霊はエロが嫌いって言うから、トイレ行って●●って来ると。

昼が終わると、背負い投げや払い腰、ダイナミックな肩車といった鬼神の如き取り組み。

練習が終わり、部室で誰かが置いていった肩たたき器をマックスの振動で右肩に押し当てる。

そんな先輩を見て友人は涙目で言った。

「もう…やめてあげてください…」

次の日には先輩の右肩に乗っていた女は姿を消したそうだ。

(了)

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