十一月になるたびに思い出しちゃう話です
637 :2010/11/06(土) 18:39:53 ID:15gS1Xno0
あたしゎ、高校ニ年生から大学受験を控えて塾に通いだしました。
理系なのに数学ヤバい!とかいいながら、結構あせってた記憶があります。
高校三年生で、苦手だった古典の授業を取らせてもらったとき、その授業は文系・理系一緒だったんですが……
そこにいた文系の男子、『貞男』にプチストーカーされました。
ストーカーといっても、自習室で隣に座ってきて、こっち見てきたり……
ホントに『こっち見んな!』ってカンジ?
階によって男子トイレ、女子トイレが違うのに女子トイレから出ると、女子トイレの方を見ていたり……
あとは、古典の授業ですぐ後ろの席に座られて、椅子つッついてきたり。
ウッカリ目があった時、ニヤアァァっとされるんです。
申し訳ないけど、気味が悪くて怖くッて……
あたしゎ、女子高に通ってたけど、カレシ作りたくて来てるんじゃないし、浪人が許されない環境だしで、必死だったんですよぉ。
だからなおさら、塾のとき限定とはいえ、まとわりつかれて非常にウザかったです。
何ていうか、見かけるだけでストレスになるくらい?
同じ高校の人が「カレシ?(笑)」ってからかってくることもありましたが、もちろん違うと主張してました。実際に違うし。
それがどうも、貞男に間接的に伝わったみたいで……
今度はこっちを睨みつけてくるようになりました。
まとわりつくことは、やめてこなかったのですけれどね。
マクドナルドで勉強したりとかして、離れるように工夫しましたとも。
塾の先生に話しても、余計こじれると面倒なので、もういいや!って放置を決め込みました。
でもまあ、勉強で忙しくッて?貞男のこととか忘れてたんですよぉ。
十一月、模試を翌日に控えたある土曜日のことでした。
理系数学の授業が終わり、やれやれ……と帰るところでした。
明日の模試、ヤバいなあ~とか思いながら。
いつもは友達と一緒に帰りますが、土曜は一人で帰る日だったので、夜遅かったし足早に駅に向かっていました。
塾の入ってるビルを出て少し歩いたところで、いきなり鳥肌が。
普段なら、2秒位で収まるのが、六秒位?ゾオォオ~っと。
それに加えて刺さるような視線を背中に感じて、後ろを振り向くのに一瞬ためらいました。
けど、そのまま前に進むのも気が引けて、右手のカバンを強く握りました。(変質者を殴れるようにねッ!)
バッと後ろを見たら、貞男がいました。
怒りのせいか、口を歪めた表情でこっちを睨みつけていました。
一瞬で血の気が引いたょ。
暗くて人気がない路地だからどこかにでも連れ込まれたらヤバい!!っと考える暇もなく、近くの大通りへ足が走り出したょ。
全速で走って大通りに出たとき、いつも青なのに赤信号でしたょ!
とにかく立ち止まるのが嫌で、駅に近い方へと通りに沿っていこうとすると、
後ろから
『 カ チ ガ チ ガ チギ チ ギ カ チ カ ギ チ チ ギ ギ ギ 』
って聞こえたきたんですょ。
ヒトって、あんな音出せるんだね……
後ろで貞男が歯ぎしりしてました。
血走った目でこっち見て、絶え間なく歯ぎしりしてました。
心の中では「うあきゃああうえええ?!あばばばばば!!」って感じだったけど、驚きすぎて声が出なかったから、しばらく後ろ振り向いたまま固まってました。
何人かこちらに歩いてきて、青信号に変わってたことに気づいて、ダッシュでプラットホームまで逃げました。
それ以来、貞男のことを見かけず。
間接的に、精神的におかしくなっていたとも聞きました。
ただ、一人で塾から駅まで行くのが怖くて、友達と待ち合わせて帰るようにしていました。
センター試験とか受験本番とかに現れたらどうしようと、ビクビクしてましたが、現れなくてホッとしました。
いまゎ、何とか無事に大学生しています。
大学の同じ学科の人で、貞男と同じ高校だった加藤くんから、貞男は亡くなったと聞きました。
受験勉強を苦にしての自殺だったそうです(遺書にそうあったとか)
怖い目にはあったけど、気の毒だ、と思いながら色々話していたんですが……
けどね、自殺した日付がおかしいんですよ。
私を追いかけてきた土曜日の三日前(水曜日)には、貞男の葬式があったらしくて、学級委員をしていた加藤くんは、先生方と一緒に出席したそうです。
加藤くんが言うには、高校のとき、水曜日は早く授業が終わるから、友達とサッカーをしてから悠々と塾へ向かっていたのだが、貞男の葬式に出席したため、塾に遅れていって、先生に「模試が近いのに、大丈夫なのか(笑)」と、からかわれたのを覚えていると。
どう考えても、貞男があたしを追いかけてきたはずがないんです。
あの時、あたしを追いかけてきた貞男は何だったのか、いまだにわかりません。
ただ、貞男にお線香をあげに行くつもりはありません。
またあの時みたいに、追いかけられるのは嫌ですから……
(了)