「読むだけでIQ下がる(混乱して)」と言われる三大奇書の一つを、Z世代向けに超圧縮リミックスしてみたよ。
黒死館殺人事件(Z世代リミックス)
【概要:読むウィキペディア】
探偵・法水麟太郎(のりみずりんたろう)が、ひたすら「それ事件に関係ある?」っていうペダンチック(衒学的)な知識を披露し続けるせいで、読者が置いてけぼりになる伝説の奇書。
建物も住人もトリックも、全部が「厨二病(中二病)の極み」みたいな設定。
登場人物
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法水(のりみず):知識モンスター。息をするように魔術・紋章学・建築史のうんちくを語る。隙あらば自分語り。
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支倉&熊城:いつもの相棒たち。今回は法水の長話を聞かされる被害者枠。
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算哲(さんてつ):この屋敷を作った故人。ガチの魔術オタクで優生学信者。諸悪の根源。
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外国人4人組(弦楽四重奏団):屋敷に住まわされている演奏家たち。全員キャラが濃い。
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ダンネベルグ:チェロ担当。最初の被害者。
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クリヴィッツ:ヴィオラ担当。通称クリス。気弱そう。
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グレーテ&オルガ:女性陣。何か隠してる。
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その他:執事とか博士とか、怪しい脇役多数。
■序:黒死館という名の魔窟
舞台は「黒死館(こくしかん)」と呼ばれる、明治時代に建てられた超ゴシックな洋館。
ここは故・算哲博士が「最強の芸術家を作るんや!」という狂った目的で作った実験施設みたいな場所。
住人の外国人4人は、外界から隔離されて、ひたすら弦楽四重奏(カルテット)を練習させられている。
法水「この屋敷、ケルトのルーン文字とかカバラ魔術の意匠だらけじゃん。エモ…」
■事件発生:光る死体と密室
ある夜、演奏の練習中にチェロ担当のダンネベルグが急死。
しかも、死体が青白く発光している✨。映えを意識しすぎな死に様。
警察「毒殺だな。誰がやった?」
法水「待って。この光り方は中世の錬金術師が使った〇〇という毒薬で、これは薔薇十字団の紋章学的に言うと…(ここから20ページくらい無駄話)」
法水が喋っている間に、第二、第三の殺人が起きる。
死体はなぜか自動人形(オートマタ)の部屋に運ばれたり、鎧の中に詰め込まれたり、演出が凝りすぎてて意味不明。
■捜査:オカルト知識バトル
捜査パートは、法水による「オカルト知識マウント合戦」。
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暗号発見 → 法水「これは16世紀の占星術で解読できる」
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変な扉 → 法水「これはテンプル騎士団の隠し扉の構造と同じ」
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怪しい行動 → 法水「これは心理学的にいうと…(以下略)」
読者(と警察)は「いいから犯人捕まえろよ」と思うけど、法水は止まらない。
館の中には隠し通路、隠し部屋、怪しい実験室が迷路みたいにあって、住人全員が何かしらの血縁関係や秘密を持ってる「ドロドロの昼ドラ」状態だと判明する。
■解決編:トリックは「超科学」と「血脈」
散々じらした挙句、法水が暴いた真相はこれ。
① 犯人は?
ヴィオラ奏者のクリス。
あいつ、気弱そうに見えて実はこの館の「裏の支配者」的なポジションだった。
② 動機は?
この館の真の秘密、それは「算哲博士の隠し子(フリコ)」を守ること。
実はこの館、住人たちを掛け合わせて「究極の人間」を作るブリーダー施設だった(ドン引き)。
クリスはその秘密と、隠された莫大な遺産を守るために邪魔者を消していった。
③ トリックの正体
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光る死体:特殊な発光バクテリア的な薬品を使った。
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密室トリック:ここが一番ヤバい。
館全体が巨大な「楽器」であり「電気回路」になっていた。
特定の音(ヴィオラの特定の音階とか)を弾くと、共鳴現象で「テスラコイル」が作動して、遠隔操作で鍵が開いたり、毒ガスが出たり、隠し扉が開いたりする仕組み。
法水「つまり、この館そのものが巨大な殺人装置(シンセサイザー)だったんだよ!!」
一同「な、なんだってー!!(理解不能)」
■結末:燃える館、去りゆく探偵
最後は、ミステリーのお約束。
犯人がバレて、仕掛けが暴走したのか、誰かが放火したのか、黒死館は炎上🔥。
業火に包まれる館をバックに、法水たちは脱出。
法水「全ては幻のように消え去ったか…。しかし、あの建築様式はビザンチンとロマネスクが融合しており…(まだ喋ってる)」
こうして、数々の謎(と、うんちく)は灰となって消えたのであった。
【まとめ】
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犯人:ヴィオラ弾きのクリス
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トリック:館全体が「音で動くピタゴラスイッチ」だった(テスラコイルとか共鳴とか)。
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教訓:オタク知識も極めれば名探偵になれるが、周りは迷惑する。あと、理系と文系とオカルトを混ぜるな危険。
Z世代へのアドバイス:
この本をガチで読むと「情報の洪水」で脳がパンクするから、まずは「雰囲気ゲー」として楽しむのが正解。ストーリーよりも「法水さんのドヤ顔解説」を楽しむエンタメだよ!

作中うんちく集
『黒死館殺人事件』の真骨頂である、法水麟太郎の「脳がバグるレベルのうんちく(衒学)」
この作品のうんちくは、単なる豆知識ではなく、「科学・オカルト・歴史・芸術・犯罪学」をごちゃ混ぜにして、さらに嘘か本当かわからない説を早口でまくし立てるのが特徴です。
Z世代風に言うなら、「Wikipediaのリンクを100個連続でクリックして、全部同時に喋ってる状態」です。
作中で披露される、代表的な(そして特に意味不明な)うんちくをいくつか紹介します。
① 死体が光ってる時のうんちく
【状況】
最初の被害者・ダンネベルグの死体が、暗闇で青白く発光していたシーン。
【警察の反応】
「あ、これ発光塗料か何かですね」
【法水麟太郎のうんちく】
「待たまえ。これを単なる燐光現象と片付けるのは早計だ。君は『栄光の手(マン・ド・グロワール)』を知っているかね?」
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解説内容:
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中世の泥棒が使った黒魔術アイテム「栄光の手」(絞首刑になった罪人の腕をロウソクにしたもの)の話を始める。
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さらに、発光の原因となる物質「ルシフェラーゼ」について語る。
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そこから「死体が光るのは、死ぬ瞬間に強烈なエネルギー(カルマ的なもの)が放出されたからだ」みたいな、科学とオカルトを無理やり繋げた理論を展開する。
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【要約】
「昔の黒魔術と最新の化学(当時の)を合わせると、この死体はエモい!」
② 扉の文字を見た時のうんちく
【状況】
ある部屋の扉に不思議な紋章や文字が刻まれていたシーン。
【警察の反応】
「なんか変なマークありますね」
【法水麟太郎のうんちく】
「ふふ、これはハインリッヒ・コルネリウス・アグリッパ(中世の魔術師)の『隠秘哲学』にある惑星記号だね」
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解説内容:
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そのマークが「テトラグラマトン(神聖四文字)」とどう関係しているかを語る。
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さらに、建築様式が「ビザンチン様式」と「ロマネスク様式」のどちらの影響を受けているか、窓枠のカーブの角度から延々と解説する。
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「この螺旋階段のねじれ方は、カバラ神秘学でいう生命の樹(セフィロト)のパスを表現しているのだよ」
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【要約】
「この建物を建てた奴、魔術オタクすぎてヤバい。建築様式にもこだわってる」
③ 楽器と物理学のうんちく
【状況】
被害者がチェロ奏者だったり、館の構造が楽器に似ていることがわかった時。
【警察の反応】
「楽器が凶器に関連してるんですか?」
【法水麟太郎のうんちく】
「タルティーニの『悪魔のトリル』という曲には、物理的な秘密があるんだ」
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解説内容:
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タルティーニが夢の中で悪魔に弾かせたという伝説の曲について語る。
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そこから「差音(さおん)」という音響物理学の話に飛ぶ。(2つの音を同時に鳴らすと、その周波数の差の音が聞こえる現象)。
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「この館の部屋の容積と廊下の長さは、特定の音波を増幅させる共鳴箱として設計されている。つまり、ここでヴィオラを弾くと、物理的に離れた場所の鍵が開くのだ!」
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【要約】
「この館、巨大なスピーカーだし、音で動くスマートホーム(物理)だったわ」
④ 犯人の心理を語る時のうんちく
【状況】
犯人らしき人物の異常な行動を分析する時。
【警察の反応】
「こいつ、頭おかしいんですかね?」
【法水麟太郎のうんちく】
「ロンブローゾ(昔の犯罪学者)は『天才と狂気』の中でこう言っている…」
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解説内容:
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骨相学(頭の骨の形やシワで性格がわかるという古い学問)を持ち出す。
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「犯人の耳の形や指紋の渦は、中世の吸血鬼伝説に出てくる特徴と一致する」
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さらに「優生学」の話になり、「黒死館の住人たちは、優れた芸術家を作るために掛け合わされた実験体なのだ」と、メンデルの法則と詩的な運命論を混ぜて語る。
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【要約】
「犯人は生まれつきヤバい血筋。顔の形や耳の形に出てるから間違いない」
この作品の「うんちく」の楽しみ方
法水麟太郎の推理は、
「Aという事実」→(魔術知識)→(物理学)→(歴史)→「だからZが犯人だ!」
というふうに、連想ゲームが飛びすぎていて常人には理解不能なのが特徴です。
もし実際に読む機会があったら、「法水さん、また関係ない話でドヤ顔してるな〜」と生温かい目で見守るのが正しい楽しみ方です。
[出典:青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/cards/000125/files/1317_23268.html]