短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

小太郎【ゆっくり朗読】

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Kさんの近所に住む一人暮らしのお爺さんの話です。

405 :227:2005/04/04(月) 10:35:30 ID:S+cLO1UmO

お爺さんは昔、喉の手術をしていて声はあまり出ませんが、足腰が丈夫で働き者。皆から好かれています。
奥さんが入院中で一人暮らしのお爺さんは、ワンコを飼っていました。
そのワンコは目も開いてない子犬の頃、お爺さんの畑の肥料用の生ごみのポリバケツに投げ込まれていたのだそうです。
お爺さんはワンコを小太郎と名付け、我が子のように可愛がっていました。
愛敬があり賢い小太郎は近所でも人気者だったのですが、8歳の時、病気で亡くなってしまいました。
お爺さんの悲しみは大層なもので、近所の人も集まってお葬式をした程。

ある日の事、お爺さんは壊れた雨樋を修理しようと屋根に上った所、うっかり足を滑らせて屋根から転落。
腰に激痛が走り動けなくなってしまいました。

喉が悪いお爺さんは声も出せません。

誰にも気付いて貰えず苦しむお爺さん。
その時です。激しく吠える犬の鳴き声が聞こえました。近所の人が驚いて飛び出てくる程です。
お爺さんの隣の家の奥さんと斜め向かいに住むKさんも出てきて、吠える犬を探します。
そして、倒れて動けないお爺さんを見つけたのです。

直ぐ救急車が呼ばれ、お爺さんは病院へ。結果は椎間板の損傷。
隣の奥さんも犬の声を聞いた近所の人たちも、あの犬の声は間違いなく小太郎だと断言しました。
怪しい人や押し売りなどが来た時に、お爺さんを守ろうとする小太郎が吠える声と全く同じだったからです。

お爺さんは驚くほどの回復力を見せ、今も畑を作っています。
Kさんは時々、小さい尻尾を目一杯振ってお爺さんの隣を歩く小太郎を見かけるのだそうです。

409 :本当にあった怖い名無し:2005/04/04(月) 22:53:34 ID:kA7DoUdc0
>>405
その犬が仕込んで足を滑らせるようにしたってことはありえないの?

412 :本当にあった怖い名無し:2005/04/05(火) 06:37:19 ID:4YK7/n0+0
いいね、飼い主(下僕でも可)冥利につきるな。
おじいさんと小太郎は、連れ立って天国に行くんだね。

413 :227:2005/04/05(火) 14:31:57 ID:URAEtOIyO
>>409さん
小太郎がお爺さんをひっぱろうとしたんじゃないかって事ですよね?
それはないそうです。小太郎はまだお爺さんと一緒にいますからね。

ただ、成仏してないワンコがいるのはまずいんじゃないか?と思い、Kさんに聞いたら、
「小太郎は自分が死んだ事を理解していて、尚且つお爺さんの事を守ろうとしている賢いワンコ。
すでに成仏したようなものなので悪い影響はない。
飼い主の側にいたいと純粋に願うワンコを、神様も怒ったりしないよ」
との事でほっとしました。
きっと>>412さんの仰る通り、最後までお爺さんの側にいるんでしょうね。

動物って自分を可愛がってくれた人を、いつまでも忘れずに愛し続けるのだそうです。
自分は家族がアレルギー持ちなんで動物は飼えませんが、愛される飼い主さんがとても羨ましいですね。

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