先日、親戚の葬式があった。
421 名前:あなたのうしろに名無しさんが…… 投稿日:2003/04/29 15:53
そこで、検事をやってる叔父と久しぶりに会った。
通夜の席で叔父と二人で酒を飲んでいると、
自然と話題は叔父が関わった事件の話になる。
叔父がしたのはこんな話……
広島のある個人経営の商店の店主が、夜半にふと目を醒ますと物音がする。
廊下に出てみると、全身黒づくめで小面の能面をかぶった『何か』にでくわす。
驚いた店主は、廊下に立ててあったゴルフクラブを手に取り、
その能面をめった打ちにし、その『何か』を階段から突き落とした。
その『何か』の正体は能面をかぶった空き巣で、
殴打による頭蓋骨陥没骨折、そして階段から転げ落ちたときに頚椎を折って死亡した。
店主は不法侵入に対する正当防衛が認められ無罪。
店主いわく、「悪霊かと思った」
僕はその話を聞いて、ふうっとため息をついた。
「丸腰の相手を凶器を持って一方的に殺害しても、正当防衛で通るものなの?」
「場合によるが、通る」
叔父がうなずく。
で、このあとの叔父の言葉に、俺は少し震えた。
「そもそも、不法侵入に対する正当防衛は、法的に幽霊や化物の存在を、暗黙のうちに前提にしている」
参考;盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律
『昭和5年法律第9号』は、盗犯に対する正当防衛の特例及び兇器を携帯した常習窃盗犯の刑期の下限について定めた法律。盗犯等防止法と略す。
犯人に対する正当防衛をより広く認めるための規定。
犯人が自身や周辺の人の身体に危険を及ぼそうとしている場合に、その危険を避けるために犯人を殺傷した場合、これを正当防衛とみなすものである。
第一条 左の各号の場合に於て自己又は他人の生命、身体又は貞操に対する現在の危険を排除する為犯人を殺傷したるときは刑法第三十六条第一項の防衛行為ありたるものとす
一 盗犯を防止し又は*盗贓を取還せんとするとき
二 兇器を携帯して又は門戸牆壁等を踰越損壊し若は鎖鑰を開きて人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若は船舶に侵入する者を防止せんとするとき
三 故なく人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若は船舶に侵入したる者又は要求を受けて此等の場所より退去せざる者を排斥せんとするとき
2 前項各号の場合に於て自己又は他人の生命、身体又は貞操に対する現在の危険あるに非ずと雖も行為者恐怖、驚愕、興奮又は狼狽に因り現場に於て犯人を殺傷するに至りたるときは之を罰せず
*盗贓=盗んで得た財物
(了)