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中編 ほんのり怖い話

こっくりさんの呪いはゆっくりさん

投稿日:

小学生の頃。

608 :本当にあった怖い名無し:2008/09/25(木) 17:08:27 ID:CEzk0ISA0

放課後、友だちの泰孝と校庭での遊びを終え教室に戻ると、オカルト好きなみどりと数人の女子が、コックリさんをやっていた。

当時『学校の怪談』と言う本が馬鹿売れしていて、ちょっとしたブームだった。

中でもみどりは自称霊感少女であるらしく、

「コックリさんをやる時は、私がいれば大丈夫。何か取り憑いても、私が御祓いしてあげる」

と言って、みんなから慕われていた。

泰孝は「アホくさ」と軽蔑したような顔で女子を睨み、

「コックリさんなんているわけねーじゃん」

と喧嘩を売り始めた。

するとみどりは、「そういう事言わない方がいいよ。呪われちゃうよ」と応戦。

「はっ?馬鹿じゃねえ?俺んち寺やってるから周り墓地だけど、人魂の一つも見た事ねえよ!」

と泰孝が吠えます。

すると女子の中の一人佐智子ちゃんが、

「でも、これ勝手に動くんだよ……嘘じゃないって」

と怖がりながら、コックリさん体験を話す。

そうよそうよと女子たちが調子に乗り出し、

「だったら竜太君と泰孝君も一緒にやろうよ」

と言い出した。

泰孝は「上等だよ」とやる気まんまん。

僕は恐がりだったので遠慮すると、「じゃあ竜太は先に帰ってろよ」と泰孝。

帰っても良かったんだけど、僕は佐智子ちゃんの事が好きだったので、残って見ている事にしました。

いざコックリさんが始まりましたが、僕は佐智子ちゃんの事ばかり気にしていて、あまり経過を見ていませんでした。

憶えている事と言えば、十円玉が動いた際、泰孝の「誰だよ動かしてんの。わかってんだぜ」と言う声がしきりに聞こえていました。

時間も経ち、例の「コックリさんお帰り下さい」のくだりへきました。

すると、怖い話で良く見かける『NO』を繰り返し、帰ってくれないとい事態になりました。

見守る女子が動揺し始めると、みどりは「大丈夫。私の霊感で何とかするわ」と、インチキ臭い事を言い出す。

泰孝はその状況を馬鹿にしたような笑みで見つめ、「はいはい。終り終わり」と、コックリさんの紙をぐしゃぐしゃに丸め投げたのです。

「ちょっとあんた!何やってんの!」と怒るみどり。

「これで俺呪われたんだろ?へっへっへ。どうせ何も起きないけどな」

とフラグを立てる泰孝。

どうして良いのかわからず混乱する女子たち。

ちょっと涙ぐんでいる佐智子ちゃん。

佐智子ちゃんに「大丈夫だよ」と言ってやりたい僕。

そんなこんなで、混乱しつつもお開きになり、帰宅する事になった。

その日の夜、泰孝の家に泥棒が入った。

学校では「呪いのせいじゃない?」と噂されていたけど、「何で呪いが盗みするんだよ。あほか」と泰孝は余裕だった。

何でも、大した被害はなかったらしい。

僕も、これはさすがに偶然だろ、と思っていた。

数日後、泰孝が車に撥ねられた。

泰孝の自転車はタイヤに潰されたが、泰孝にはかすり傷すらなかった。

これは呪いのせいだろと思ったけど……

泰孝は「いや、完全に俺の不注意。曲がり角かっ飛ばしてったからな」と笑っていた。

何でも、その曲がり角では、前々から何度もぶつかりそうになっていたとか。

「あれだな。ああいう時って、スローモーションに感じるって本当だな!ノロイのせいか」

などと冗談ぶっこいていた。

更に数日後、男友達数人で鬼ごっこをして遊んでいた時、泰孝が階段を踏み外し下まで転げ落ちた。

みんなその場で凍って、「あわわ」になってしまった。

もしかして何者かに突き落とされたんじゃ……と思った。

が、泰孝はピョンと立ち上がり、

「危ねえ!階段の途中に犬の糞があった!踏まないようにしようとしたら落っこちたぜ!」と爆笑。

僕たちも安堵と面白さに爆笑。

泰孝は擦りむいただけで済んだ。

更に数日後、図工の時間、泰孝は彫刻刀で指を怪我した。

「呪いだ!!」とみんなが騒いだ。

みどりが

「泰孝君の手を掴んでいる白い手が見えた」

と言って怯えたが、泰孝は怪我した指を見せびらかせながらプゲラっと笑った。

勝手に手が動いたとかそんなんではなく、指を広げて置き、指の間をトントン彫刻刀を行き来させる、度胸試しに失敗したからだった。

ただ、普段面白い人気のあった先生にこっぴどく怒られ、凹んではいた。

その他にも、泰孝の身に色々な事故怪我はあったけど、呪いなのかと言われればどれも微妙だった。

学校では「泰孝は呪われているが、それ以上に強い守護霊に守られている」と噂された。

ただみどりだけは、「呪われている」と言い続けた。

 

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ある日、遠足にて川辺の飯盒炊飯をやっていた。

「川には入るなよ」と先生は言っていたが、そう言われて守る者もいなく、食後にはみんな川に入ってばしゃばしゃ遊んだ。

比較的穏やかな流れだったし、そんなに深い場所もなかったので、先生も笑って見ていた。

しかし、事故が起きた。

みどりが溺れたのだ。

川の底にあったガラスの破片を踏んでしまい、パニクったそうだ。

助けたのは泰孝だった。

「呪われているのは私かもしれない……」

と泣きじゃくっていたが、泰孝が、

「心配すんな。呪いなんかないって。それに呪われるんなら俺だろ?お前は平気だよ」

と励まし、安堵したようだった。

それ以来、みどりはオカルト的な事を言わなくなったし、泰孝の事も悪く言わなくなった。

というか、絶対好きになってた。

ある日、泰孝と二人で帰っている時に、

「ねえ、泰孝君は怖くないの?やっぱ呪いって嘘かな?」

と僕は聞いてみた。

泰孝はちょっとだけ真面目な顔になって、「誰にも言うなよ」と前置きをすると、

「実はあのコックリさんやった日によ、夢の中に狐が出てきた。んでビビってさ、父ちゃんにお経唱えてもらって、近くのお稲荷さんに油揚げ持っていった。だけど、その後でも俺、怪我とかしてんだろ。ってことは、呪いのせいなんかじゃなくて、ただ単に俺が不注意だってことじゃん」

と言って、泰孝は恥ずかしそうに笑った。

良く解らなかったが、何となく納得した。

(了)

 

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