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短編 洒落にならない怖い話

亥の子唄(※追記あり)【ゆっくり朗読】2600

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田舎に帰ったときの話。

大学卒業後、俺は田舎から大阪に出た。

休みには帰省しようと思いながらも、あまりの忙しさになかなか時間が取れない。

親は無理しないでいいと言うのでお言葉に甘えて結局1度も帰省しなかった。

年は経ち、さすがに仕事にも馴れて余裕ができたので、五年ぶりに実家に帰ることにした。

帰る旨を伝えると、なぜか母ちゃん頑なに拒否。

おいおい、実の息子にそんなに会いたくないのかよ……

と思いつつ俺も実家が恋しいわけでしつこく食い下がる。

すると今度は父ちゃんが電話にでる。

「分かった、ただし少し家の環境は変わってしまってな……正直あまり見せたくない」

リフォームでもして失敗でもしたのか?と思いつつ俺は

「オッケ、オッケー!大丈夫だって」と言い電話を切った。

そしていざ帰省。

新幹線に揺られバスに乗り電車乗り継ぎ……ようやく到着したなつかしの実家。

話とは違いパッと見は全く変わってない我が家、あたり一面相変わらず田んぼと山だらけ。

父ちゃん母ちゃんは電話での対応とは違い喜んでくれてた。

そしてもう一人、家には親以外にも兄がいた。

兄も就職して都会に出てるはずなのにどうして?と思ったが、俺は久々に兄に会えたことがうれしかった。

兄はいわゆる完璧超人で顔も頭もよく人付き合いもいい、大手企業に就職、結婚もしている。

自慢の兄でたぶんこの世で一番尊敬してる。

ただ今ここにいる兄は俺の知ってる兄ではなかった。

イケメンだった兄の顔はまるで別人のようになっていた。

よだれを垂らし、目はあさっての方向を向いて狂ったように亥の子唄を歌っている。

※亥の子唄ってのは地方民謡…というか亥の子祭りって行事のときに歌う歌です。

俺はなにが起こってるのか分からず呆然とした。

父ちゃんに問い詰めるとどうやら俺が大阪に出てしばらくして兄は事故ったらしい。

その後遺症でこうなったとか。その後兄は離婚し実家が引き取り今に至るそうだ。

両親は俺に兄がこうなってしまったのを知らせたくなかったらしい。

母ちゃんは「ごめんね、ごめんね……」って泣いてた。

父ちゃんは黙って俯いてた。

俺はその日一日頭が真っ白というか何も考えられない、現実を受け入れられない状態だった。

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夜になっても全く寝付けずボーっとしていると、ガラガラと玄関を開ける音が聞こえた。

時間は真夜中のニ時、こんな時間になんだと思い見てみると兄が外に出ていた。

俺は慌てて兄を追いかけた。

すると兄は田んぼにズカズカと入り込むと昼間のようにまた狂ったように歌いだした。

いのーこ いのーこ いのーこさんのよるは
いーのこもちついて いわわんものは
おにやじゃや つののはえたこうめ~

俺はそのとき初めて『ああ、兄は本当に狂ってしまったんだな』と実感し泣いた。

そしてすぐに両親に兄が田で暴れてると報告した。

しかし俺の焦りとは裏腹に両親は冷静だった。

「大丈夫、ほっといても大丈夫やから」

俺は耐え切れず泣きながら兄を無理やり家に連れ戻した。

翌朝、両親に聞くとどうやら兄はほぼ毎日家を抜け出してるらしいが、ほっといても翌朝にはきちんと帰っているそうだ。

事実俺が滞在した間、毎日夜になると抜け出し朝には戻っていた。

そして瞬く間に時間は過ぎ、いよいよ休みも終わりに近づき、俺は帰ることになった。

兄のこれからのことを父に聞くと

「幸彦のこと は心配いらん。そのう ち帰るとき が来る」

「えっ?」

意味が分からなかった。

今でもその意味は分からない。

帰るもなにも兄はそこにいるじゃん。

何を聞いても父はそれ以上口を開こうとしなかった。

そしてそのときの父の顔をみて背筋が凍った。

薄っすら笑っている。

それによく聞くと「ヒ、ヒヒヒ」というしゃくりあげるような笑い声が口から漏れている。

母も同様に笑ってる。

兄は後ろで相変わらず歌い続けている。

その様子があまりに異様で俺は耐えられなかった。

「また時間が取れたらくるから」

と言い足早にその場を去った。

薄情かもしれんが本音を言うと、二度と実家には戻りたくない……

(了)

YouTube視聴者の方から貴重な投稿がありました。

2017年05月02日(火)追記

猪の子祭は広島だけに平安時代から伝わる民俗習慣で、

スサノオノミコトやヒノカクツチ大神等の荒くれものなや神さまを鎮めて、おとなしくしてもらう、行事です。

私のすむ町内でも今も何やら歌いながら子供たちが、

お払いした石を藁に包んで飾りをして赤と白の紐を沢山つけて練り歩いています。

現代は豊作や子宝に恵まれる為のお祭りに代わりましたが、

本来の意味や歌に込められた呪文は全く理解できません。

子供の頃にも意味もわからずやっていたので。

今度調べて見たくなった。

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少し調べましたが

おかやまと愛媛でもあるようですが、

それらはごく近年に亥子10月に御祭りとして

弁天様や大黒さまなどを奉っている、お祭りでした。

しかし、これは旧地図では

備後から長州に(岡山の一部から広島と、山口の東部でだけの行事で)この祭は奉りであり。

神さまをお払いした石を地面に叩いて鎮めておかなければ、水害や飢饉が起こると。

言い伝えがあります。

唄は

『いのこのようさ もちつかんもんは おにうめこうめ つーののはえたじゃうめ えいとさいと さいとこもちくわそうか』

ニ伴まであるはずだが覚えてないです。

亥の時期旧暦で10月には

その地から選ばれた石を清めて

男の子が大きな漬け物石くらいの石を何人かで藁に巻き、

その中にお米やヒエや粟等の穀物をお供えとしていれ。

氏神から近所を練り歩く。

唄を歌いながら地面を子達だけで、放射状に着けた紐で大きく持ちあげ地面に叩き付けて歩くのです。

やらなかったものは、鬼にとられ。

家は絶えていき蛇つきとなり・・・・

死ぬまでイキテイナガラ亡者となる。

やったものは家は栄えて沢山の善いことが続く

つまりこの話の中での共通点は、

この家族は亥子を、子供の頃に奉らなかったから、

長男は鬼に意識を乗っ取られて死ぬまでイキテイナガラ帰らぬ亡者となり?

家族は変な薄笑いを浮かべ蛇つきの、一族となった?のかもしれない。

関わりたくないと言った弟は他県に行っていたので。

その地に居なかったら大丈夫なのだろうか?

ならばやはりこの地には帰らない方がよい様です。

持って行かれなったが子供を儲けることができないまたは、できても短命だと言う。

この話は民俗学をよく知るお爺さんからうろ覚えで聞きました。

もう92歳のお爺ちゃんがこの事はハッキリと語ってくれて家族構成も忘れた、痴呆であまりわからないみたいなのです。

広島には戦国時代より狐岩、千足のわらじ、蛇退治や様々な昔話、民俗逸話、風習や伝承が残っていて沢山の史籍があちこちに残っています。

数年前に起こった安佐南区八木の梅林地区土石災害もある、殿様の蛇退治の舞台となった場所なのです、

 

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