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短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚 n+2026

入れなかった女 nc+

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4年前くらいの話になる。

当時住んでいた部屋は、なぜかやたらと人が集まる部屋だった。
誰かが「落ち着く」と言い出してからは、ほぼ毎日のように友達が遊びに来て、そのまま泊まっていくことも珍しくなかった。1LDKにしては無駄に広く、5人くらいなら狭さも感じない。彼氏もいなかったから、泊まりたいと言われれば断る理由もなかった。

ただ一つだけ、皆が口を揃えて気味悪がるものがあった。
玄関を開けた正面、少し左に見える一軒家の物置だ。

夜になると、決まってその物置のドアが開いていた。
友達の中には「中に人がいた」「ドアが勝手に開いたり閉まったりする」と言う者もいたが、私自身は毎晩ドアが開いているのを見るだけだった。建付けが悪いんだろう、中の物が人影に見えただけだろう、そう言って笑い飛ばしていた。

ある晩、心霊スポット帰りだという男友達のMが、冗談半分に「お祓いに来た」と言って押しかけてきた。
私は霊感があるわけではない。ただ昔から、周りに「一緒にいると楽になる」「何か取れた気がする」と言われることがあり、そういう理由で休憩場所扱いされることが多かった。

Mも最初は軽いノリだったが、部屋で落ち着くうちに急に顔色が悪くなり、「車が変だから見てほしい」と言い出した。何かできるわけでもないが、駐車場まで付き合うことにして玄関へ向かうと、Mがふと思い出したように言った。

「そういえばさっき、あの物置から女の人がこっち見てた」

また気のせいだろうと笑いながら玄関を開けた瞬間、物置のドアが物凄い勢いで閉まった。
反射的に玄関を閉め、「今の何」とMに聞こうとした途端、今度は物置の方からバタン、バタンとドアを叩きつけるような音が響き、同時に部屋のインターホンが鳴り出した。モニターには誰も映っていない。

直感で、面倒なやつだと思った。
私は玄関から離れ、収まるまで部屋で待機することにした。

実家では、家族以外の足音や、誰もいないのに聞こえる男の声に慣れていたせいか、私はあまり怖さを感じなかった。タバコを吸いながらぼんやりしていると、Mは青ざめた顔で体を震わせ、「こんなの今まであったのか」と何度も聞いてきた。

1時間も経たないうちに音は止んだ。
物置も静まり返っていたので、Mを部屋に残したまま車を見に行ったが、特に異常はなかった。その夜は怖がるMを泊めてやった。

翌朝、Mが帰った後に買い物へ出ようと玄関を開けた時、強い視線を感じた。
物置の上にあるその家の窓から、女の人がこちらをじっと見下ろしていた。人が住んでいるんだと安心し、軽く会釈したが、女は瞬きもせず見つめ返すだけだった。

しばらく何も起きない日が続いた後、今度は母が遊びに来た。
昼食を振る舞い、食後にお茶を飲みながら話していると、母が急に言った。

「あの物置、気味悪いね。あの家、変なのがいる」

冗談だと思って笑いながら突っ込むと、母の顔が少し曇った。

「あれ、人じゃないよ。怖いから、あんたが迎えに来てくれないと入れない。実家のとは違う。あれは怖い」

夕方、母を見送るため一緒に外へ出ると、母は物置を一瞥した瞬間、小走りで駐車場へ向かった。
車に乗り込む直前、真剣な顔で言われた。

「あの女、部屋に入れたら駄目だから」

母の車を見送って部屋へ戻ろうとした時、物置のドアがゆっくり開いた。
中から、ドアノブを握る白い手が見えた。

「こっち来ても何もないよ。そこにいた方がいい」

そう言って、私は部屋に戻った。

それ以降も、物置のドアが動いたり、インターホンが鳴ったり、窓から女に見られることはあったが、部屋の中で何かが起きることはなかった。
結局その部屋には2年住み、引っ越した。

今でも、あの場所を思い出すと、物置の位置だけは正確に浮かぶ。
家の形や通りの名前は曖昧なのに、玄関から見えた角度と距離だけは間違えない。

多分、今もあそこにいる。
そう思う理由を、私は誰にも説明していないし、できない。

[出典:888 :本当にあった怖い名無し:2017/10/04(水) 05:10:08.88 ID:1CODUgNJ0.net]

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