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拾ったのは、どっちだ rw+3,100-0327

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あの山には、もう入るなと言われている。

理由は誰も説明しない。ただ「行くな」とだけ言われる。大人たちは、そこに触れると話が長くなることを知っているからだと思う。

俺は一度だけ、その山に入ったことがある。

小学生の頃、四人でつるんでいた。俺と、兄貴分のS、その弟のM、従兄弟のK。遊び場は決まっていた。立ち入り禁止の神社だ。

吊るし神社、と呼ばれていた。

境内の奥にある木で、首を吊るやつが出るからだと聞かされていたが、俺たちの頃はもう何年もそんな話はなかった。

それよりも、賽銭が落ちていることの方が重要だった。

誰が置くのか分からない。五百円玉や千円札が、誰もいないはずの場所にある。Sがそれを見つけては拾い、駄菓子に変えて分けた。

ある日、それがなくなった。

Sは言った。

「あのおっさんのせいや」

神社の裏手、山の反対側から登ってくる男を見たという。神社には入らず、ただそこに立っていた。

その話を聞いた次の日、探しに行くはずだった。

雨が続いて、行けなかった。

その間に、Sが来なくなった。

熱も咳もないのに、体中に赤い斑点が出ているとMが言った。見舞いに行くと、Sは普通だった。むしろ機嫌がよく、持っていった菓子をすぐに食べた。

帰るとき、Sが言った。

「チクったやろ」

Mが何も言わなかった。

それから四人は分かれた。

しばらくして、学校に呼び出された。

「空き家に入ったな」

誰も答えなかった。Mだけが泣いた。

「俺君は関係ない。Kも……直接は……」

そのあと、Kに聞いた。

Sは一人で山に入っていた。雨の日だったという。神社の裏から回って、空き家を見つけた。

その家の奥の部屋に、砂利が敷き詰められていた。

Sはそれを拾っていた。

「宝石や」

Mの手にも握らせて、笑っていたという。

連れ戻されたあと、Sはそれを机に並べていた。

「金持ちのおっさんとバイオリン習う」

そう言っていたらしい。

そのあとから、母親が始めた。

風呂場で水をかけ、火を当てる。

「落とす」

そう言いながら、毎晩やっていたという。

Kの家にも来た。

「Kも祟られている」

そう言って、玄関で叫んだ。

そのとき、Kは言われたらしい。

「俺の名前は出すな」

Sがそう言ったと。

理由は聞かなかった。

聞いても答えは出ないと思ったからだ。

しばらくして、SとMはいなくなった。祖母の家に引き取られたと聞いた。

その家が燃えた。

原因は火の不始末だと言われた。

誰も信じていなかった。

最後に見た人の話では、母親は油揚げを咥えて歩いていたという。

笑いながら、「お狐様の化身じゃ」と言っていたらしい。

それから、あの山には誰も入らなくなった。

理由は聞かない。

ただ一つだけ、最近になって思い出したことがある。

あのとき、Sの机に並んでいた砂利。

あれと同じものを、俺は知っている。

いつからか分からない。

部屋の隅に、少しずつ増えている。

掃いてもなくならない。

踏むと、乾いた音がする。

[出典:542 :本当にあった怖い名無し:2022/02/06(日) 15:37:48.71 ID:Zy5GsjIa0.net]

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