短編 怪談 ほんとにあった怖い話

鬼【ゆっくり朗読】4600

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幼稚園の頃、鬼を見た。

473 本当にあった怖い名無し 2012/08/14(火) 11:28:50.73 ID:hMVdjWtAO

その日は、山に囲まれてる田舎のおじいさんの家に泊まった。

わりと近所なので、普段から何回か泊まったことはあったから、普通にご飯とか食って二階で寝てたんだけど、深夜二時~三時くらいに眩しくて目が覚めた。

ふとベランダを見ると、鬼が三人座って何か話をしていた。

ベランダの入り口には、横にスライドするガラスの窓があって、その一枚手前には障子のふすまがある。

そこに、やけに明るい月に照らされて、いかにも「鬼」というような出で立ちの三人が、シルエットになって映っていた。

怖かったがとりあえず、隣で寝ていたおばあさんを起こして僕が「ベランダに鬼がいる!」と小声でいうとおばあさんが眠そうに起き上がってまず電気を点けた。

すると当然、障子にあったシルエットは消えて、おばあさんが障子を開けても、そこには何もいなかった。

その日、見間違いって事になって次の日、家に帰った。

元々、おじいさんちは古~い木造家屋だった事から、イトコとの間でも「幽霊が出る」って噂があったけど、実際に本物を見たのは僕が初めてだった。

だが話はそれだけでは終わらず、ちょうど一週間後の土曜日に、夜中家で寝ていたら母親に叩き起こされた。

「今おじいさんの家でおじいさんが暴れて警察とか救急車が来てて、今お父さんが様子を見に行ってるけど、一緒にいた親戚が包丁でおじいさんに刺されたらしい。とりあえずおばあさんが危ないからウチに非難させる」

という事で、僕はビビって震えながら家で待機していた。

しばらくするとおばあさんとお父さんが帰ってきて、おばあさんは

「おじいさんが鬼に取り憑かれた! いっつも山でカラスとか鹿を猟銃で撃ってるから祟られんだ!」

と話していた。

いきさつを聞くと、親戚で集まって酒を飲んでいたら、急におじいさんが立ち上がって奇声をあげながら台所に行き、包丁を振り回したらしい。

元々おじいさんは温厚で、人を刺すようなタイプじゃない。

お父さんも「あんな顔のじいさんは見たことがない。本当に鬼が乗り移ってるような顔だった」と言っていた。

ちなみにこの事件は、全国ニュースにもなりました

結局おじいさんは、捕まって留置場?に入った。

でも元々、山とか田んぼとかの地主だったことからお金はいっぱいあって、大金はたいてすぐ帰ってきた。

おじいさんは事件の事は全く覚えてなくて、朝起きたら見知らぬ場所で警察に囲まれていたらしい。

すぐに身内全員が集合して、みんなの前でおじいさんが土下座。

刺された親戚ともすぐに和解しました。

その事件から十年以上経って、おじいさんも病死し何事も無く過ごしていたんですが、去年の二月、イトコの女の子(四才と六才の姉妹)が今はおばあさんしか住んでいないあの実家で泊まっていたら、鬼を見たという。

もちろんその子達は生まれる前の事件だし、鬼が出るという話も全く知らない。

おばあさんは心底怖がって、ウチに週一くらいで泊まりに来たりしてた。

そしたらちょうど、泊まりに来てた三月十一日。

東日本大震災が起こりおばあさんの家は、一階が潰れて二階が綺麗にそのまま下に落ちた格好で倒壊していた。

話が出来すぎてて疑われるかも知れないけど、全て本当のことです。

最後は、おじいさんがおばあさんを守ったんだと思います。

いま実家の土地は他人に売って、おばあさんと暮らしています。

長文失礼しました。

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