短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

幼馴染の友達【ゆっくり朗読】

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幼稚園からの付き合いの幼馴染の友達が二人いて、

333 :本当にあった怖い名無し:2022/07/24(日) 19:12:50 ID:EDgK+vrb0.net

同い歳で、家も近所だからよく三人で遊んでた。

雅子は私と同じ一般家庭だけど、紀子は神主の娘。

三人で遊んでいると、よく近所の人がやってきて紀子が連れていかれた。

しばらくすると戻ってきて、「どうしたの?」って聞くと返事はたいてい「なんでもなかった」。

だからしばらくすると当たり前になって何も聞かなくなっていった。

大きくなるにつれ、きづいたんだけど、近所の人は何か変なことがあると紀子を呼んでお祓いをしてもらっていたらしい。

紀子と一緒にいることで私たちに何か怖いことや変なことがあるわけでもないし、むしろ紀子と友達だということで近所の大人がみんな優しくなってお菓子をくれたりしたので得をするぐらいだった。

中学生の頃、三人で登校していたんだけど、雅子の様子がおかしかった。

とても疲れているように見えたので聞いてみたら、最近金縛りにあうようになってほとんど眠れていないらしい。

それでふと思いついて紀子に何とかならないか聞いてみた。

そしたら
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーん」って唸りだして、眉間にしわを寄せて悩み始めてしまった。

紀子はいつでも即断即決で、一緒に買い物に行ってもほとんど迷わない人なので、私と雅子はかなりビビった。

「なにか悪いものでもついてるのかな」

「え、どうしよう」そんなことを言ってたら、

「悪い?悪い!悪くない?悪くない!……悪くはないかなぁ」って言って、また「うーん」って悩みだしちゃったので、

「悪くないなら大丈夫だね」

「うん!紀子ちゃんもういいよ」

そんな感じでその時は切り上げた。

それから雅子は病弱になっていった。

学校で倒れることはしょっちゅうで病欠も増えた。

高校も三人一緒だったけど、ずっと青白い顔で出席日数も毎年ぎりぎり。

紀子と二人でサポートしながらなんとか卒業できるところまで目処をつけた。

そしたら雅子が卒業したら東京に行くって言いだした。

紀子も私も地元に残るし、雅子は卒業したらゆっくり病気を治すことに専念して、良くなったら就職なりお見合いなりすればいいじゃないかと思ってたので、雅子の両親も含めてみんな反対。

だけど
「行けないなら死んだほうがまし」って言いだして、結局東京の専門学校に進学した。

心配してまめに連絡してたんだけど、電話越しではすごく調子が良さそうだった。

しばらくしてゴールデンウィークに帰省した時に、
「結婚することになった」って言い出した。

どうやらあっちで運命の出会いがあったらしい。

その人と出会った瞬間、「この人だ」って思ったらしい。

それからというもの体も心も健康そのもので、毎日充実して世界が輝いて見えると言う。
お互い卒業まで待てないのですぐに結婚するらしい。

雅子がもしかしたら騙されてるんじゃないかと心配をしたけど、そんなものは不要で本当に年末に東京で式を挙げた。

私も紀子と共に出席したけど、とても良い式だった。

出席者みんながニコニコして二人の門出を祝福していた。

雅子が時々旦那さんと目を合わすんだけど、そうなるともう二人の世界に行っちゃったって感じで。

私は雅子が苦しんでる姿をずっと見てきたから、雅子のそんな幸せそうな姿をみると感慨もひとしおだった。

雅子はこの日のために生まれて来たんだなって思った。

帰りの新幹線の中で、大宮を過ぎたあたりかな、紀子が深い溜息をついて言った。

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっと、言える」

驚く私を尻目にいろいろ説明してくれた。

雅子と旦那さんは前世で添い遂げて今世でも結ばれる運命だったこと。

だが旦那さんが嫉妬深い人で、雅子が別の人と関係を持つのが嫌でずっと取り憑いていたこと。

だから雅子は年頃を迎えたころから調子が悪くなったこと。

払うこともできたんだけど、雅子にとってはそれは運命の人との繋がりであり、それを払うと雅子にとって良いこととか悪いことか分からないから、紀子にはどうしようもできなかったこと。

それを聞いて私は腹が立った。

「自分で穴を掘って、そこに相手を突き落として、何食わぬ顔をして手を差し伸べて、そんなのを運命って言うなんて性格悪すぎない??」

そしたら紀子がシレっと言った。

「故意にしろ、そうでないにしろ、意識的にしろ、無意識にしろ、人間がやったにしろ、神様がやったにしろ、運命ってそういうものだよ?」

だから私は運命を二度と信じない。

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