短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

インフィニティ・リピート【ゆっくり朗読】2100

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子供の頃の不思議な体験

412 :本当にあった怖い名無し:2013/01/03(木) 02:57:55.49 ID:7+T6JVKq0

小学校五年生の時の話なんだけど、クラスでとても仲良くしている里佳子という女の子がいた。

里佳子はとても明るく、アニメや漫画が好きで、歌のうまい子だった。

私は引っ込み思案でおとなしかったから、全然違うタイプだったけど、何故だかとても気が合う子だった。

里佳子は健康で学校を休んだことが無く、いつでも明るくて、「幽白の幽助が大好き!」とかヲタな話をよくしていた。

授業中でもハキハキと発言をして、時にはボケて周りを笑わせたりする子だった。

私が通っていた小学校は五年六年が同じクラスだったので、里佳子と卒業するまで一緒にいられる!と思うととても嬉しかった。

でも、十月に入ったあたりから里佳子は雰囲気が少しずつ変わり、だんだんとおとなしくなっていった。

休み時間もボーッとしていることが多く、周りの友達も「最近元気無いね」と少し心配していた。

突然挙動不審になったり、KYな発言をしたり、たまに様子がおかしいと思うこともあった。

私は、自分は里佳子の親友だと自負していたので、放課後里佳子を呼び止めて、思い切って最近どうかしたのかと聞いてみた。

里佳子は少し困ったような複雑な顔をして俯いて、

「あのね、みきちゃんにしか言わないよ……」と小声で言った。

私はとてもうろたえたが、顔には出さないようにして「誰にも言わないよ!」となるべくハッキリと言った。

とにかく学校をでて、近くの公園に行く事にした。

公園は小さな子が何人か遊んでいたけど、静かだった。

ベンチに座ってしばらくすると、里佳子がポツリポツリと話し始めた。

里佳子の話は、当時の私が理解出来るような簡単な話では無かった。

要約すると、里佳子は十月をずっと繰り返していて、今は五回目の十月である。

三十一日が終わると、朝起きたら一日に戻っている。

抜け出す方法をずっと考えて色々試してはいるが、何も変わらない。

少しだけなら起こることを変えられるが、大きくは変えられない。

……ということだった。

私は驚き過ぎて、しばらく何も言えなかった。

でも、不思議と里佳子が嘘をついているとはまったく思わなかった。

私が黙っていると里佳子が、

「この十月を繰り返す生活から抜け出す協力をして欲しい」

と言ったので、少し怖かったが、

「私に出来ることは何でもするよ」と言った。

それを聞き里佳子は、「信じてくれてありがとう」と言いながら便箋に真剣に何かを書き、「明日の朝、教室に来たら読んで!」と私に渡した。

そこで別れ、渡された手紙を読みたい気持ちをなんとか抑え、翌日、ドキドキしなかわら学校へ行った。

教室についてから、弟の靴下を間違って履いてきた事に気付き、ビックリして思わず靴下を脱いだ。

そしてすぐ思い直して手紙開くと、そこには……

『今日のみきちゃんの服装は、白いブラウス、みきちゃんのお気に入りの猫のマークのカーディガン、黒いキュロット、アリのくつした。このくつしたは弟君のを間違って履いてきて、それに気付いたみきちゃんは、ビックリして脱いじゃうんだよ!わたし笑っちゃった!信じてくれてありがとう!みきちゃん大好き!ずっと仲良くしようね!幽白の続きずっと読めないなんて嫌だし、抜け出したい。頑張るよ!』

……と書いてあった。

服装も靴下も完全に当たっていて私は本当にビックリして、教室を見回して里佳子を探したけどまだ来ていなかった。

朝の会が始まっても里佳子は来なかった。

それどころか、私はそれから里佳子と会う事は無かった。

誰も里佳子を知らなかった。

どの写真にもうつっていなかった。

当時まだあまり流行っていない頃のプリクラも一緒に何回も撮ったのに見つからなかった。

大人になってからもたまに里佳子を思い出し、微妙な終わり方をした幽白の完全版を買った。

いつか里佳子にまた会えるんじゃないかと思っているけど、まだ会えていない。

里佳子って、本当にいたのかな?

私の夢?

妄想?

……と、たまに考えるけど、そんな事は無いはず。

里佳子はどこに行ってしまったんだろう。

繰り返される小学校五年生の十月からは抜け出せたのか……

(了)

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