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二十八歳の別れ【ゆっくり朗読】3271-0115

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高熱をだしたときのこと

866 :本当にあった怖い名無し:2015/08/25(火) 03:22:23.09 ID:eVD6o9020.net

『あれ?どうして実家にいるの?いつからいたっけ?会社はどうしたっけ?ん?会社?』

と会社を思い出せないことに気づいた。

そして夫と子どもの顔を思い出そうとしてぼんやりでてきたと同時に、自分が現在五歳だということを思い出した。

それ以降、新ドラマなのになぜか映像が古く感じたり、風景をなつかしく感じたりすることが多々あった。

子ども心に「私はこの人生2度目だったりして」と思ったけど、ドラマの内容を知ってるわけではなかったし、習ってない勉強ができるとかはいっさいなかったので成長するにつれ

『あれは高熱のせいかな。今のものが昔のものに感じるのも思い込みか』

と考えるようになった。

話がちょっと飛ぶけど、就職を機に地元を離れた。

初めての土地なのにいろんな場所にデジャヴがあった。

でも田舎ってどこも似てるし、あまり気にしなかった。

そして、就職した土地で自動車学校に通ったんだけど、担当の先生を見た瞬間

『この人だ!』と

思った。

あのときぼんやりとしか思い出せなかった私の夫、この人だ!

そう思ったけど、いろんな人と出会えばそんな偶然もあるだろうし、なによりただの思い込みだろう。

そう思うようにした。

先生とは特になにも起こらずそのまま卒業。

やっぱり思い込みだったんだと思ってたんだけど、最近先生と会う機会があってからすごく急接近している。

いまデートっぽいの誘われてて、私も先生に好意があるんだけど、このまま行動していいものか悩んでいる。

あの自分が大人だと思っていた体験以降、なぜか私は『二十八歳で死ぬ』と漠然と思っているから。

いろんなことが自分の思い込みで片付けられるけど、これはなんかちょっと怖い。

これがなければ素直に好きになれるんだけど。

(了)

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