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短編 怪談

本社の人【ゆっくり朗読】2300

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知人に聞いた話。

投稿者「N ◆kCTSxNgQ」 2014/04/02

チェーン店系のある店舗に突然、本社から人が来る事になった。

その店では、小さな事だがトラブルや事故が続いていたので、店長以下バイトまで戦々恐々として本社の人を迎えたのだが……

本社の人は普段着にカバン一つ、優しい伯父さんと言う感じの人。

ニコニコしながら店舗を一回りすると、また来るねと言って近くのモーテルに行った。
どうやら昼寝をするらしい……

従業員達が首をかしげる中、閉店時間になると再び本社の人がやって来た。

今夜はこの店に泊まって仕事をするからみんな帰って良いと本社の人は言う。

翌日、店長がいつもより早めに店に出ると、本社の人が待っていた。

「次の店に行かなきゃいけないから空港まで送ってくれ。良い店だね、コレからも頑張って」と笑顔で言う。

叱責を受ける覚悟していた店長は逆に褒められ、しばらく頭に「?」を浮かべたままだった。

ただ、不思議な事にそれまで続いていた小さなトラブルは無くなったそうだ。

これはオモチャ屋さんの話……

何でも、オモチャ屋に子供の幽霊が来る事は決して珍しい事ではないらしい。

しかも、オモチャ屋にとって名誉な事であるそうだ。

なぜなら、日頃からキチンと仕事をしているからこそ、お客様である子供が幽霊になってもやって来てくれるから。

そんな子供の幽霊も、その日の夕方には保護者がいる家に帰ってしまう。

最近、極稀にそのままオモチャ屋から帰らない子供の幽霊がいるそうだ。

そんな子供が店で小さな可愛らしいイタズラをする。

本社には日々の報告書を密かに調査している部署があり、事故の種類や、来店者数に対するトラブル比率を検討し、帰らない子供がいると判断すると、本社の人を送るのだそうだ……

本社の人と言うのは、悪魔祓い師とか退魔師とかのような仰々しい人では無い。

オモチャ屋で遊び続ける子供に対し、天国への道を教えたり、宗派によっては審判の日までの安らかな眠りにつけるように子守歌を歌うそうだ……

なぜなら、オモチャ屋から帰らない子供の幽霊は、ホンのわずかな人生の中、楽しかった思い出がオモチャ屋にしか無かった子供達で、ほとんどの場合、保護者から酷い虐待を受けていたと思われるからだそうだ。

※欧米の都市伝説の一種らしい。

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