ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖い話ネット【厳選まとめ】

短編 山にまつわる怖い話

山の魔物

更新日:

Sponsord Link

北海道で猟師をしている人の話

ある山に、*ビバークしてクマを追っていた日のこと。

突然、傍らで寝ていた相棒の猟犬が立ち上がり唸りだした。

「どうした?」と声をかけても、普段ヒグマにさえ怯えない相棒の猟犬が、全身の毛を逆立て、テントの一点を見つめて唸っている。

これはもしやヒグマの夜襲かと思い、ライフルを構えながらテントを開けると、猟犬はもの凄い勢いで飛び出していった!

見ると、猟犬はキャンプ地としたスペースの、山側の角に向かって掛けて行き、何もない虚空に向かってしきりに唸っている。

そしてしばらく吠えつくと、途端にしっぽを丸めて怯えるような声を出して後退し、また掛けていっては虚空に吠えるということを繰り返した。

最初こそヒグマの襲撃かと思っていたその猟師は慄然とした。

普段、ヒグマにすら物怖じしない愛犬が、怯えているということが彼の自信を砕いた。

そのとき、彼はかねがね聞いていた「山の魔物」という言葉を思い出した。

人には決して見えないが、知らずのうちに近寄ってきて、気が付かないうちに人や猟犬の命を奪い去っていく魔物が山には時たま現れるのだと、先輩猟師から、友人知人から聞いていたのだ。

それらは影も形も見えないが、山中で出会うと即座に凶兆をもたらすというので、今までも警戒していた。

すぐさま彼は猟犬の首縄を掴んでテントに引き戻し、今しがた猟犬が睨んで吠えていた一点に銃口を向けながら、「来ないでくれ」と念じつつ一夜を明かした。

愛犬はその間も唸り吼えたが、明け方には落ち着いた。

翌日、世が白み始めてから愛犬が吼えた地点に登ってみたが、生物の痕跡は愚か何の変化も認められなかった。

しかし後日、その話を先輩猟師にすると「おお、あれに出会ったか」と妙に嬉しそうな声で言われた。

今やマタギといえど、彼が出会った不可解な御霊に会えるものは少ないという。

(了)

 

*ビバーク
テントを張る場所がない場合や急激な天候の悪化などで設営が困難な場合に、岩陰や樹の下、雪を掘って作る雪洞にて、所持品軽量化のためにツェルトなどの簡単な用具を張って緊急避難的に野営することを指す。これを「フォースト・ビバーク」と言い、一般的に単にビバークと言ったときはこのフォースト・ビバークを指すが、雷鳴を頼りに落雷をくぼ地でやり過ごす、あらかじめ気象情報などで知った台風などの風雨から身を守るために樹林でやり過ごすといった、先を見越した計画的な「フォーキャスト・ビバーク」もある。
[出典:Wikipedia]

(了)

 

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 山にまつわる怖い話
-

Copyright© 怖い話ネット【厳選まとめ】 , 2019 All Rights Reserved.