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短編 洒落にならない怖い話

藁人形

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俺は建設会社で現場作業員をしています。

117 :ノブオ ◆x.v8new4BM :04/01/22 10:32

ある年の年末に、道路工事の現場で働いている時のことでした。

一日の作業を終えてプレハブの現場事務所へ戻ると、ミーティングなんかに使う折り畳み式のテーブルの上に、新聞紙が拡げてありました。

真ん中が微妙にふくらんでいて、何か置いた上に新聞紙を被せてあるような感じ。

なにコレ?とか思って、何気なく新聞紙の端を持ってめくりました。

……藁人形でした。

しかも髪の毛付き。

「っじゃー!!」

けったいな声を上げた俺を見て、人が集まってきました。

「なんやなんや」

「うわぁ!これワラ人形やんけ」

「こんなん始めて見たわ」

「やばいなー」

いつの間にか人だかりができて、ちょっとした騒ぎになりました。

そこへ、近くの砂防ダムの現場で働いているオッさんが入ってきました。

この現場事務所は、道路工事と砂防ダム工事の共用だったんです。

「ああ、コレな。松本んとこのオッさんが、木切ってるときに見つけたらしいわ」

松本というのは、下請けの土建屋だったんですが、そこの作業員が見つけたのを、捨てるのも気持ち悪いということで、事務所まで持ち帰ったのです。

「山に行ったら藁人形かて、タマ~にあるらしいぞ。ワシも何回か見たことあるで」

「人形は、明日にでも近くの神社へ持っていく段取りだ」という話でした。

翌朝、朝礼に出るために現場事務所へ行くと、入口のあたりに人が集まっていました。

「どないしたん?」

「夜のうちに誰かが事務所に入ったらしいわ」

見ると、入口のサッシが開いています。

そこから中を覗くと、荒らされている室内の様子がわかりました。

人里離れたところにある事務所だったし、セコムは付いていなかったしで、朝イチのオッさんが第一発見者でした。

入口には鍵が掛かっていたのですが、無理矢理こじ開けられていたようです。

事務所の中には、パソコンや測量道具など値の張るものが置いてあったのですが、そういったモノは何も無くなっていませんでした。

ただ、例の藁人形だけがどうしても見つからないそうです。

「ちょっとアレ見てみ」

俺の前にいたオッさんが指差す方を見ると、床や壁の至るところに、泥だらけの足跡や手形が残っています。

「あの足跡な、あれ、素足やな……」

それを聞いて、俺は背筋が急に寒くなるのを感じました。

(了)

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