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短編 山にまつわる怖い話

次の神様

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まだ俺が小さい頃、ひいばあちゃんの家にあそびに行ったときに、山で変なものを見つけた。

手のひらサイズの綺麗な和柄の布で作られた巾着が、古臭い柿の木にちょうど実がなってるみたいにいっぱいぶら下げてある。

巾着はちょっと色あせてたり土がついてたりしたけど、生地自体が振袖生地みたいな可愛い柄だったし、それほど古いものじゃなかったみたいで俺はどうしても欲しくなった。

それで、家で本を読んでた二つ上の姉を連れてきて、脚立を立てて二人で木にぶら下がってた巾着を全部とった。

中にお姫様の宝物が入ってるんじゃない?とか言いながら家に持ち帰って、俺はワクワクしながら中身を取り出してみたんだけど、出てきたのはゴルフボール大の固まった泥団子。

俺と姉はがっくりしながら他の袋も開けてみたんだけど、案の定他の袋にも泥団子が一個づつ入っていただけだった。

姉は折角本を読んでたところを邪魔されて取らされたのが泥団子だったのがどうも気に食わなかったみたいで、縁側に並べた泥団子を石垣に投げつけた。

そしたら粉々になった団子からは、くちゃっと丸められた黒い毛みたいなものが出てきた。

他のも同様に割ってみると、魚の骨のようなものの一部、何かの動物の歯、昔のお金、あと人の名前みたいなのが掛かれた布切れが出てくる。

不思議に思ってひいばあちゃんに見せに行くと、「そうかそうか」とばあちゃんは笑って俺らの頭を撫でたあと、その出てきた物やら泥やらを一箇所にまとめてみんな燃やしてしまった。

髪の毛の燃える嫌な匂いが立ち込める中、ばあちゃんにこれって何なの?と聞くと

「次の神様」と答えた。

続けてばあちゃんは俺たちに

「この巾着には神様が入っていて、これを開けたらそいつは次の神様になるんだ。
神様になったら極楽にも地獄にもいかずにずっとこの土地の神様になる。小さいときにお前とおんなじように山でこれを見つけて来たのが*末子だ。だから次は末子が神様だ。お前が巾着を見つけたから、もうふたつ次の神様は決まった。もうじきうちから神様が出る」

と嬉しそうに教えてくれた。(※末子:俺の親戚のおばちゃん)

それから二年くらいして、親戚のおばちゃんが死んだ。

ばあちゃんが言うとおりなら、おばちゃんは今でも天国にも地獄にも行かずに神様をやっているらしい。

次は俺だ。

誰かが山でまた俺みたいに巾着を見つけてしまうのが怖い。

死ぬのが怖い。

神様になんてなりたくない……

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