ある山小屋に、二人の女性登山客がやってきた。
山小屋の主人がお茶を出して
あれこれ談笑した後、彼女らは山小屋を発っていった。
しかし、ほどなくその女性たちが遭難したという報せが山小屋の主人の元に届いた。
大規模な捜索が何日も行われたが、
迷うような山道でないのに、女性たちはなかなか発見されなかった。
彼女らが所属していた登山クラブの人間たちが捜索に入り、
やっと彼女たちの遺体は発見された。
彼女たちがなかなか発見されなかったのには理由があった。
二人の遺体は林道の中で見つかったのだが、
二人とも遺体の上には、まるで遺体を隠すかのように厚く落ち葉がかけられていたのだという。
遺体が隠されていたことから、
殺人事件の可能性があるとして捜査が行われた。
その山小屋の主人も随分事情聴取を受けたという。
しかし、その山小屋の主人が覚えている限り、
その日その山に彼女らと同じルートで登った客は
その二人だけであったということである。
一体誰が……?
(了)