あれは三年前の夏、近くの森に友達七人でサバゲーをしに行ってたんだ。
当時俺たちは高校一年、いつもは四人で地味に楽しくやってた。
だけどその日は他の新参二人と自称カメラマンの江崎がビデオカメラで俺たちを撮らせてと言ってきたので快くOKして、七人という大人数で行ったわけさ。
まず最初にサバゲーの大まかなルールを言うと、まず二人組になって二チームに分かれて相手の陣地にある的を破壊するやつ。
もう一つは全員が敵でただひたすら見つけ次第撃ち合い、当てられたら自己申告で待機所へゴー!ってやつの二つがあって、今回は後者で遊ぶことにしたのよ。
んで、しばらくそんな感じでぼちぼち遊んでいたんだけど、その森ってのが結構広くてさ、俺たちも何度かここ来てるけど奥の方とかは全然詳しくないんだ。
でもその日は人数多いしカメラマンもいることだし、行動範囲を広げようって話になって、俺たちも把握してないある程度奥まで行けることにしたのね。
今思えばそれが最悪だったんだ……
俺がまず奥まで突っ走ったんだ。
先に奥の方で待ち伏せしてのこのこ来たやつを潰そうって考えでね。
で、枝をはらいながら落ち葉踏みながらどんどん奥まで行ったわけよ。
するとなんか急に木の層?が厚くなり始めて。
よっしゃ、この後ろに隠れてよう、って思って木を登ってその木の層の後ろ側に行ったらさ……
小さい赤い塗装のはげた「トリイ」がぽつんてあんの。
でね、その後ろに明らかに墓があるの。二つ、ぼろぼろの。
木の上からその光景を見た俺はちびったね。
周りには誰もいなくて、こんな森奥深くになぜに墓!?しかも二つ。
俺は心臓バクバクさせながら全速力で戻ったよ。
サバゲーどころじゃなくてさ。早く人に会いたい一心で走った。わかるだろ?
数分後に江崎見つけて、半泣きで名前を呼んだよ。
その江崎にその話をしたら、見たいとか言うもんだからさ、一応二人だし、大丈夫かなとか思って連れて行くことにしたんだ。
俺たち二人は適当に話しながら奥まで入った。
そしたら偶然友人の佐野と遭遇してさ、ちょっとテンションあがって三人でそのトリイに向かったよ。
さっきはすんなり着いたと思ったんだけど、いざ向かおうとしたらなかなか到着しなくてさ。なんか三倍くらい歩いた気がした。
で、見覚えのある木の層が厚くなってるとこに着いたんだ。
三人はよじ登って、例のトリイとぼろぼろの墓を目の当たりにした。
そして墓に書かれた名前を見てみたんだよ。
なんか「~衛門」とか書かれてて、明らかに古い人だろ。
もう一つの方はよく分からないけど、雰囲気からして夫婦だったのかな?名前が一文字で女性の感じがした。
この異様な空気に耐え切れなくなってる俺を差し置いて、江崎と佐野はなんか盛り上がってるのよ……
「掘ったら何か出てくるんじゃね?」とか言ってさ、江崎がついに撮影し始めた。
うっすら暗いので怖すぎて死にそうだったよ。
カメラを回し始めて三分くらいでテープが終わり、終了。
その後はグダグダでサバゲーは終了した。
江崎がさっきの事を全員に話すと、早速試写会を江崎の家で開くことになった。
で家に到着。一人は帰って六人で観た。
最初は楽しげな雑談してる映像。まだサバゲーは始まっていない。
この雑談映像が結構長くてちょっと和んでたんだ。
次にサバゲーの映像。友人の変な撃ち方とか、隠れてるところとか面白かったのを覚えてる。
で、次。
俺が半泣きで江崎の名前を叫んでる映像が来た瞬間、全員が凍った。
いました。霊が。
誰がどう見てもばっちり映ってるんだよ。心霊が。
カメラはぶれていなく走って近づいてくる俺を完璧に写していたんだが、その後ろには髪が長い白い服の女の霊っぽいのがこっち見てるのね。誰もいなかったのに。
一瞬じゃない、三秒くらい。
みんな幽霊が映ってる前提で見ていたからすぐに見つけられたんだと思う。
カメラが一瞬地面の方向いて、また俺を映したとこにはもういなくなってて……
これは紛れもない事実であって、ネタではない。
そこにいた全員が幽霊という存在を信じる瞬間になった。
しかも続きがある。そうだよ、大問題の墓のシーン。
もうなんか全員冷や汗たらしながら「ヤバくね?」とか言いながらも心臓バクバクさせながら続きを見たんだ。
俺なんてマジ生きた気がしなかったね。だって俺の後ろに女の霊がいるんだぜ? 泣いたよ半分。
で、すぐそのシーンに写った。
確かに三分は撮ったんだ。テープが切れるまでの三分は。
だけどそのさっきの霊が映って数秒で霊のトリイのシーンに行くはずなんだが、急に画面が青くなってしまった。
これは何も記録してない状態の映像なんだけどしばらくみんなシーンとしてた。
その直後。
いきなり墓の映像が映って、しかも雑音がひどい。
江崎と一緒にいた佐野の会話が聞き取れないほどの。
全員ビクってなったのを覚えている。
よく聞くと何か言ってたのかもしれない意味深な雑音はあまりに不快で耐えれるもんじゃなかったんだが、これも七秒くらいで終わってしまった。
で、テープはそれで終わった。
その後、江崎の父がその月に死んだ………
(了)