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短編 怪談

小さな霊園

更新日:

大学時代の友人が事故で亡くなって四年たつ。

827 :2015/05/02(土) 13:30:51.55 ID:CjPdRTY10.net

先週サークル仲間で集まって墓参りに行ったんだ。

結構な田舎の小さい霊園だから、休日昼間なのにあんまり他にお参りしてる人はいなかった。

お墓洗って花供えて手合わせて。

やる事なんて大して無いし、男五人で結構ぎちぎち状態でのお参りだったから、そばのファミレスにでも移動してそっちで思い出話するかってなった。

んで振り返って霊園を出ようとしたら、出口んとこに人がいる。

本当に小さいとこで、出入り口は二人すれ違うのがやっと位の狭いの一つしかない。

こっちの大人数で通るには迷惑かけるよな、と思って、その人が移動するまで待つ事にしたんだ。

しかしそいつは動かない。多少距離があるので表情はわからないけど、何かしてる気配もない。

しょうがないから向こうに避けてもらって出ようと思ったら、最初にいた奴の向こう側に人が増えてるのに気づいた。

待ち合わせ?と思ったけど、おかしいんだ。

晴れた日で、ちょっと距離があるにせよ向こうの様子はよく見える。出入り口の周りは荒い柵で、その外は駐車場だ。

誰かが歩いてきてたら絶対気づく。向こうが移動したら出ようと思って、ずっと見てたんだから、余計だ。

俺らが動き出すまで、一人しかいなかった。

一瞬で十人以上も増えるわけがない。

思わず振り返ったら、仲間も何か微妙というか腑に落ちない、って顔をしていた。

晴れた真昼間でまだ恐怖感なんて全然なかった。

でもこれはおかしい、気持ち悪い、何だこれ。

もう一度出口の方を見た。更に人が増えてる気がした。

なのに誰も入って来ない。

多少距離があるとはいえ、晴れた日で、他はくっきり見えるのに、そいつらの顔は全くわからない。

なのに、全員こっち見てる。見てるのはわかる。

仲間の一人が、「逃げた方が良い……よね?」と言った。

どこから逃げるというのか。

柵の向こうは人集りになってた。

縦長の霊園。俺らから見て正面が出入り口、左手は隣接の寺の塀、右手は道路、後ろは川。

別の一人が「逃げろ!!」と叫んだ。

みんな後ろの川に向かって走った。

出入り口からぶわっと人が流れ込んできたのが気配でわかった。

川と霊園を隔てる金網をよじ登って、有刺鉄線を無理やり潜って、転がり落ちるみたいに河川敷に落ちた。

見上げるとまだ金網に仲間がくっついてて、そいつのパーカーのフード部分を掴んでいる腕が、他の部分を掴もうと伸びる腕が、何本も見えた。

そいつは金網から手を離して、殆ど飛び降りるみたいにして腕を振り切った。

痛みで上手く歩けないそいつに手を貸して、全員とにかくその場を離れるのに必死だった。

幸い骨折等はなかったものの、霊園と河川敷に結構な高低差があったし、有刺鉄線で引っ掻いたりもして、みんな傷だらけ。

車は例の駐車場。

何時間もたって、ちょっと落ち着いてから寺に電話して、お寺の方についてきてもらって車を回収して帰った。

一応状況説明はしたけど、困った顔をされただけで、除霊とか何か曰くの話とか全くされなかった……

こっちも混乱してたし上手く伝わらなかったのかもしれないが。

俺の車だから俺が行かなくてはならず、一人ついてきてくれたけど、後の奴はもう戻りたくないって言って離れたとこで待ってた。

薄情とか言えない。自分でも怖いと思った。夕方になり駐車場から見た霊園は何も変わりがないようだったけど、鳥肌が立った。

帰ってからは今の所何もない。

これからあいつのお墓参りどうしよう……

(了)

 

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