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短編 家系にまつわる怖い話

精霊馬

更新日:

まずは事の始まりから。確か八月の中ごろだったかな。

541: 本当にあった怖い名無し:2011/10/04(火) 22:36:57.47 ID:DeMlH3Ml0

祖父から

「精霊馬の処理をするからお前も来い。こういった事をお前は覚えなきゃならん」

と言われついて行った。

場所は家のすぐ隣にある道祖神があるとこ。

そこには用水路が流れてて、祖父は精霊馬と飾ってあった折鶴らしきものをその用水路に流した。

「お前も拝め」と言われたので手を合わせた。

その後、流すときに立っていた場所にお線香を二本置いて、その日はそれで終わった。

その翌日の午前三時くらいに、祖父に「ちょっと出かけるぞ」と起こされた。

俺は眠いし、まだ日が昇ってなくて暗くて怖いからイヤだって言ったんだけど、祖父は

「どうしても今やらなきゃいけないから来い。帰りに缶コーヒー奢ってやる」

って言うからついてった。

場所は昨日と同じ場所だったが数人の男性がいた。

ランタンみたいな灯りしか無かったから顔は見えなかったけど、皆50は超えてる人で知ってる人もいた。

着くと顔見知りの人から

「おー和彦もきたんかー、こんな時間にすまんな」

みたいな事言われて、5分ほど他愛ない話してた。

話が終わると、「じゃ俺は行くでしっかりじいちゃんの言う事聞くんだぞ?」と言って、そこにいた人は全員奥にある倉庫?みたいなとこに集まっていった。

俺がぽかーんとしてると祖父が来て、

「この事はお前の母ちゃんと清美(妹)には言うなよ?男同士の秘密だ」

って言われて、ちょっとワクワクしてた。

俺が何するの?と聞くと、祖父が説明してくれた。

原文ママは覚えてないので要約して書く。

まず、これはこの地域に昔からある風習で、あんまり他所には言わない事。

お前はご先祖様に愛されてるからこの役目をやらなきゃいけない事。

女性は関われない事。(理由ははぐらかされた)俺の家で代々取り仕切ってる事。

こんな事を聞かされた。

肝心の自分が行う事は、「やりながら説明するから、俺のやってる事をしっかりみて覚えろ」と言って、さっきの倉庫の方に一緒に行った。

そこにはさっきの人たちはいなかった。どうやら準備をする人たちも決まっているらしい。

その倉庫は普段シャッターが閉まってるんだけど、その時は空いてた。

中は初めて見たけど、棚があったりいろいろごちゃごちゃしてた。

入って正面に神棚みたいなのがあって、蝋燭が左右二つづつ計四つ置いてあった。

俺と祖父が入ると、祖父がシャッター降ろした。

持ってたランタンも外に置いてきたようで、中は蝋燭の明かりしかなくて怖かった。

シャッター降ろした祖父はシャッターの方に体を向けて、俺にもこっち向けと言った。

祖父は、

「いいか、あそこの蝋燭があるとこ向いて喋っちゃだめだ。やる事は見るだけで質問はするな。終わったら説明したる。頼むからあれに向かって喋るなよ?」

と言い、俺が頷くのを確認して蝋燭に向きなおした。

怖がりの俺はびくびくしながら祖父の隣についた。

祖父はまず、蝋燭の立ってる棚に置いてある紙(半紙っぽかった。長さは三〇cmくらい。両側に文鎮らしき物)に、隣にあった鉛筆?で字を書き始めた。

読めたのは右詰の一番右にあった俺の苗字だけで、後はぐにゃぐにゃで読めなかった。

紙の一番左まで書き終えると、鉛筆を元に戻して紙を折り始めた。

横に一つ、二つ。折り目が四つつく感じで。

折り終えたら今度は開いて、折り目に沿って4等分に切った。

切ったら、一番右の紙を一番右の蝋燭の火で、二番目を二番目の蝋燭で、といった感じで火をつけて、棚の奥に捨てた。

紙はすぐ燃え尽きてしまったのではっきりとは見えなかったが、紙を捨てたとこには、随分古い石碑っぽいのががあった。字が彫ってあったが見えなかった。

全部の紙が燃え尽きると、今度は左の蝋燭から順番に息をかけて消していった。

右の蝋燭は消さないので祖父の方を見ると、蝋燭を見て顎をクイックイッとやっていたので、祖父にならって左から息を吹きかけて消した。

全部の蝋燭が消えて完全に真っ暗になるかと思ったら、上に天窓があってそこから微妙に朝日がさしてた。

するといきなり祖父に後ろから抱きしめられて、手で口を塞がれた。

俺が困惑してると祖父がそのまま座ろうとしたので、俺も座ろうとしたら「座るな」って言われた。祖父の声だった。

すると抱きしめる力が弱くなって、祖父はそのまま座り込んでしまった。

喋るなと言われていたのでどうしたものかと悩んでいると、案外中が明るくなっているのに気づいた。

周りを見渡していると、さっきの石碑らしき物が目に入った。

しゃがんでよく見てみると、箇条書きで何か書かれていた。

全部で四行。三行目と四行の間は二行分くらい離れてた。

壱 女●●ヲ禁●●
弐 之●●キメ●序
参 宮●ノミヲヲ●

● 之見ルハ之ヲ禁ズ

●の部分は、さっき祖父が書いたようなぐにゃぐにゃ文字。

何故か四行目だけはハッキリみえた。彫ったあと白く塗ったみたいだった。

四行目を見たら怖くなって、早く祖父を連れて帰ろうとしたら祖父がいない。

シャッターもいつの間にか開いていたので、先に帰ったのかと思い外に出たら、さっき準備してた人と祖父が一緒にいた。

俺は近づいてって「なんで先に帰るの!怖かったじゃん!」と祖父に文句を言ったら、祖父は青い顔してた。

周りの人も「和彦、大丈夫だったんか!?なんともないか!?」って凄い剣幕で話してきた。

俺は蝋燭の火を消したとこまで説明したら、「そっから先は口外禁止じゃ和彦ちゃん」と言われた。

その人たちは少し離れて何か話し合っていた様だったが、しばらくするとこっちにきて、「もう今日は帰り。

じいちゃんはちょっと体調悪いけん俺らが預かるわ」と言った。

顔見知りで家も知っている人だったので、じゃあお願いしますと言って帰路についた。

帰るともう出勤の時間だったので普通に出勤した。

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仕事から帰ると居間に祖父が居たので、今朝の事を聞いてみた。

祖父は

「いや……もう俺じゃだめなんだ……やっぱり俺で……」

みたいなこと呟いてから俺に向きなおして、

「いいか、今日の事は忘れろ。後のことは佐藤(今朝の顔見知りの人)に任せてあるから、お前が気にする事はない。変な事に付き合せてすまなかったな」と言った。

俺はそっかー変なのーと思いつつ、しばらく祖父と談笑してた。

話の中で今朝の石碑の事を思い出したので、「そういえばなんか石碑みたいのあったじゃん?なんか書いてあったけどアレ何?」と聞いた。

祖父は

「ああ、アレももう忘れていいよ。お前には関係ないさ」

と笑うので、

「そっかー、何かこれを見るなとか書いてあったから焦ったよ」

と話すと、祖父の顔色がはっきり悪くなった。

祖父に「どこまで見た」といわれたので四行全部と言うと、祖父は

「四行?……そうか……」

とだけ言って、

「今日はもう遅い。俺も寝るからお前も早く寝ろ。月が変わる頃には話してやる」

と言って、寝室に行ってしまった。

怖くてその日は寝付けなかった。

ここまでが俺の話したかった事の顛末なんだけど、特にオチらしきオチは無い。

でもここに書いたのは別に理由があって、色々不思議な話やら風習の話知ってるここの住民なら何か知ってるかも、と思って書いた。

実は八月末に祖父が亡くなった。死因は心不全とか聞いた。

例の事の顛末を聞けなかった俺は、その日会った顔見知りのおじさんの家にいって聞いてみたんだけど、やっぱり蝋燭が消えた以降の事は知らないし、なんであんな事やってるかも祖父しか知らないんだそうだ。

「直ぐに話さなかったってことは特に問題なかったって事だろうから、和彦ちゃんも気にせんほうがいいよ」

って言われた。

何も無いならいいんだろうけど、つい一昨日親父と話してる時に例の事をチラッと話したら、

「ああ、俺もじいちゃん、お前のひいじいちゃんにそんなことやらされたな」

と言ったので、何か知らないかと聞いたが、やはり父も知らないようだった。

蝋燭を消した後のこともやはり秘密らしい。

父とそんな話をしている内に例の石碑の話になって、話をしている内に思い出したことを聞いた。

「あの石碑さ、父ちゃんが見たのって四行?」

「ああ、なんか最後の行に見るのはダメみたいなのが書いてあって、当時はブルったわ」

「俺もじいちゃんに四行見たって言ったら怖い顔されたよ。でも変なんだよね」

「なにがさ」

「いやさ、四行目がやけにはっきり見えたから今まで忘れてたけど、あれ五行目があった気がするんだよね。見えなかった?」

ここまで話すと父の顔がおかしくなった。

凄い怖いものを見たような顔だった。

父は「もうその話を誰にもするな、俺がなんとかしてやる」と言ったきりその話はしない。

ただ昨日、やけに長い電話をしていたので、内容が気になって少し耳をそばだててみたが、例の件っぽいという事しか分からなかった。

これを読んで何か知ってる事とかあれば教えて欲しいんだ。

というのも、五行目の内容がちょっと怖くてさ。

書いていいものか迷ったけど書く事にする。

読めなかったのは『●』にする。大体こんな感じだった。

死ヲ●●ナクバ●貰●ベリ

(了)

 

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