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短編 ほんのり怖い話

ぬいぐるみを持った少女をひいてしまった

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配置換えで新しい現場となり歓迎飲み会十八時開始。

当日急遽決定だったので車できてた俺。

二十一時前くらいに終わり、そこから五時間ほど車の中で眠って酔いも醒めて帰途の途中、

農道の信号も明かりもない交差点で目の前にいきなり女の子が現れた。

とっさに避けたものの車の側面に当たった気配を確かに感じた。

うわーやっちまった……

父ちゃん母ちゃんごめん、と思いながら車を降りて

「おい大丈夫かッ!」と声をかけたが返事はない。

懐中電灯でさがすも見つからない。

田んぼの中に落ちたのか、あるいは堀に、とりあえず110番に通報。

「たぶん女の子をはねたと思います」と伝え、警察が来るまで探すもはやり見つからず。

七分くらいでパトカーと救急車が来た。

「すいませんまだ女の子が見つからないんです」

と言ったところで警官と救急の人達が妙に落ち着いてるのに気づいた。

「落ち着いてください。まずどんな女の子でした?」

「黄色っぽい服でぬいぐるみを持ってました」

と言ったとこで救急の一人が「またか」ってつぶやいた。

すぐ隊長っぽい人にたしなめられてたが。

「車のどこにぶつかったかわかります?」

「左のドア付近に当たった感じがしました」

警「速度はどのくらいでした?」

「60キロくらいです。たぶんあっちの方に飛ばされたハズなんですが……」

警察と俺も車のドアを入念に見るもいっさい痕跡がない。

その後全員で十分ほど回りを探したが女の子は発見できなかった。

警官と救急隊員の隊長っぽい人は二言三言話すと隊員全員が救急車に乗って帰ってしまった。

「ちょっとこちらに来て頂けますか?」

と俺と警官は交差点を過ぎた50mほどのところへ。

その端っこに何かある……

献花台だった。

「このお子さんですか?」と、台の上の写真立てに俺が車でひいたはずの子が写ってた。

その後のやり取りはよく覚えていない。

パトカーの中で一応書類を作ると言われ、見間違いで事故を起こす寸前だった……

みたいな扱いとして淡々と処理された。

警官は少女については何も説明しなかったが最後に

「それでは、安全運転でお帰り下さい。……夜はあまりここを通らん方がいいですよ」

と言って去った。

配置転換されるまでその道は昼間でも通らなかった。

でも正直なとこ「事故っちまった……俺の人生終わったかな」ってことの方が俺にとって恐怖が大きかった。

ひ轢いた直後に車を降りるときがとてもゾクゾクして逃げ出したくて、ひき逃げになっちまう奴の気持ちがよく理解できたよ……

(了)

 

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