ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖い話ネット【厳選まとめ】

短編 洒落にならない怖い話

砂が積もる廊下

更新日:

今日は私の引っ越しの日だ。

場所は都会から離れた郊外、近辺の山等の未開発地帯と都会の丁度真ん中辺りの場所で、人によっては中途半端だと言うかもしれないが、都会への未練と自然への憧れの両方を捨て切れない私にとってはこれぐらいが丁度良い。

引っ越し業者も少ないダンボールをあっという間に運び終えて帰って行った後、私が散々迷って買った中古物件は静寂を取り戻した。

不動産屋の話によると、以前ここには四人家族が住んでいたらしい。

幸せを絵に描いた様な家族で、不動産屋はこの家でずっと暮らして行くのだろうと思っていたという。

しかし、ある時その家の主人が不動産屋に来てこの家を売り払ったのだという。

不動産屋は理由が気になったが、余り家庭の事に干渉するのも気が引けて素直に従ったらしい。

そして不動産屋はその家を綺麗に掃除して、また売家としてラインナップした直後に私が買いに来たのだという。

「前の主人が何処かの業者に頼んで改築工事をしていたみたいですけどね、改悪という事も無いでしょう。多分住みやすい家だと思いますよ」

私は不動産屋の言葉を思い出し、自分が良い買い物をした気分になる。

とにかく、玄関にダンボールが詰まれている光景というのは余り良い物ではない。

私は大きいダンボールを開け、小さいダンボールを持って奥の部屋へ行くために廊下を進んで行った。

サリッ

足の裏に微かな違和感を感じる。しかしここで一度ダンボールを置いて足の裏を確認するのも億劫だ。

私は気にせずに廊下を再び歩き始めた。

奥の部屋に着き、ダンボールを置く。

私は違和感の理由が気になって足の裏を見てみた。

(……砂だろうか?)

ぱらぱらと、白い粒が足の裏に付着している。

塵が積もっているなら掃除をしなければいけない。私はたったいま運んだダンボールから時計を包んでいた布切れ端を出し、廊下に出てみた。

砂がうっすら積もっている。

ダンボールに付いていたのか掃除が適当だったのか、私は少々の不満を覚えながら廊下を綺麗に拭いた。

その後はとくに気になる事は無く、慌ただしい間に引っ越してから一日目の夜が明けた。

朝、私は起きて近くのスーパーで買って来た出来合いの食事を取る。一夜明けると新しい家も見慣れる物だ。

私は長くなった通勤時間を覚悟しながら家を出た。

夜、私は仕事から帰って来た。

通勤時間は大して苦にならなかったが、駅から家まで歩くのがどうにも仕事で疲れた体には気が進まない事に感じられた。

私はそのうち慣れて行くさと言い聞かせながら廊下を歩く。

サリッ

また違和感。

私はすぐに昨日の砂だと思った。事実、足下を確認したらそうである。

しかしここで疑問が浮かぶ。

昨日確かに綺麗にしたはずだったんだが?

私はまた昨日の布切れを持ち出した。確かに昨日の砂が付いている。

三日後には私の疑問はとても大きな物になっていた。

毎日毎日、私が仕事から帰って来ると砂がうっすら積もっているのである。何回拭いてもだ。

(……何処かに穴でも開いてるのか?)

私が最初に思い当たったのは、以前の主人が行った改築であった。

廊下の真上、二階の寝室に私は行き、床を入念に調べてみる。

怪しい物は見つからない。

しかし、音が聞こえた。微かにカサカサという音が床の下からするのである。

(ここの下は廊下だが……)

私は音の正体を調べるべく廊下へまた降りようとする。

そこでやっと私は気付いた。

二階の中で、寝室の床だけ他の場所より一段高くなっているのである。

なぜここだけ床が高くなっているのだろう?
要するに、廊下と寝室の間に狭いスペースが有るのである。

そこを調べれば、音の主も砂の謎もわかるのではないか?
私はすぐさま懐中電灯とノコギリを持って来て、寝室の床へ上がる段差の一部分を外した。

光でそのスペースを照らしてみる。

始めに目に付いたのはネズミの姿だった。

こいつがカサカサ歩き回り、また、何かをかじってそのカスを床の隙間から廊下にこぼしていたのだろう。

この分じゃもう二、三匹いそうだ。

じゃあ何をかじっていたのか、私は奥を照らしてみた。

「……!」

闇の中のそれが骨であるとわかった瞬間、私は懐中電灯を取り落としそうになった。

(何の骨だ……? まさか……)

私のその予感は的中した。

かじられ続けたせいで大分破壊が進んでいるが、見間違える事はない、暗闇の奥に明らかに人間のそれとわかる頭蓋骨が仲良く並んで三つ。

……おそらく前の家族の。

一体幸せな家族に何があったのか? そして此所で殺人があった事は表沙汰にはならなかったのか?

色々な疑問が浮かぶが、私の脳裏に一番強烈に浮かんでいたのは、崩れ行く人骨のすぐ上で、幸せ顔で眠っていた私の姿であった。

(了)

 

呪術師ペレネル [ マイケル・スコット ]

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 洒落にならない怖い話

Copyright© 怖い話ネット【厳選まとめ】 , 2018 All Rights Reserved.