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染められたい女

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俺の友だち、健人が体験した話なんだけど……

あいつは、エグザイルグループにでもいそうな男前で、結構女にはモテモテで、常に新しい女がいるという奴だった。

47:矢吹新一 2016/8/24 20:52:05 ID:yuzDd5UwJI

健人は、俺様系のキャラでドSタイプ。

なので、一緒にいる女はドMタイプが多かった。

鏡子という女をナンパしたときの話なんだけど。

街でヒマそうにしているのを見かけて、声をかけたらついてきたという。

見るからにおとなしそうで、いつも半開きにしているアヒル口が、ドSなあいつには美味しそうに見えたのだとか。

鏡子は二十一歳で、ファーストフード店でアルバイトをしていた。

九州から上京してきたらしく、純朴な女だった。

やっぱり九州の女は、強い男に惹かれるのだろうか?

健人は、一人暮らしの鏡子の部屋に入り浸った。

あいつの実家は結構な金持ちなので、悠々自適な生活をしている。

親は放任主義で、一人息子だから甘やかしているのだ。

健人にとっては、鏡子はひとときの止まり木に過ぎない。

飽きたらまた別の女のところに行くだけのことだ。

そんな健人を引き留めるために、鏡子は必死に気に入られようとした。

髪を染めろと言われれば好みの色に染め、服もあいつが好きな服を着た。

健人が鏡子を特に気に入ったのは、料理が上手いことだった。

和食、洋食、中華、何でも作れるらしい。

健人の気分に合わせて、すぐに料理を出してくれる。

やはり男を落とすには胃袋を掴むことなのだろう。

そのうえ、鏡子は何でも言うことを聞いてくれた。

夜中でもコンビニに買いに行くのも平気だし、マッサージの腕前もプロ並みだった。

そんな鏡子を、健人はだんだんと好きになり、もっと自分好みの女にしたいと思った。

お金には困らない健人は、鏡子に顔や胸を整形させ、理想の女に近付けていった。

鏡子も、健人の色に染められることに生きがいを感じ、言われるがままにしていたのだった。

健人にとっては、《自由にできる最高の人形》を手にいれたのだ。

お金が有り余っている健人は、鏡子を最高の女にするためにお金をかけた。

マナースクールに通わせたり、茶道や生け花なども習わせた。

どんどん自分の理想の女に近付く鏡子を見ていて、健人はどんどん好きになっていった。

また、鏡子も健人色に染められていくのが嬉しかったのだった。

鏡子は健人のことを旦那様と呼んでいた。

その言葉は、俺様キャラの健人の心をくすぐった。

ついに健人は、鏡子との結婚を考え、親に紹介することにした。

実家に久しぶりに顔を見せた健人に母親は喜んだのだが、突然どこの馬の骨ともわからない女を連れてきたことに、どえらい剣幕で怒りだした。

感情的になると手もつけられなくなる母に口ごたえもできず、健人は鏡子を連れて自分の部屋に避難した。

「なんだよ、腹立つなあ。あんな奴、死んでくれたらいいのに……」

思わずぶっそうなことを言いだす健人に、鏡子はニコッと笑って言った。

「はい、旦那様。その通りにします」

そう言って、突然部屋を飛び出し、母親のいるキッチンに向かっていった。

「きゃー!」

母の悲鳴が聞こえ、健人はあわててキッチンに駆けつけた。

すると、母の脇腹には包丁が刺さっており、側には鏡子が立っていた。

健人はあわてて救急車を呼んだ。

健人が鏡子の方を見ると、言われたとおりにできたという満足そうな顔をしていたのだった。

まるで、飼い犬が、主人に誉めてもらいたいような顔で……

(了)

 

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