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心タンポナーデ臨死体験

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急性大動脈乖離の心タンポナーデで臨死体験っぽいものをした。

12月24日のこと。もう、ダメっぽい、と言われて嫁が泣いているころ、定番どおりおれは上から自分を見下ろしていた。

よくある3mぐらいの高さ。

ウソっぽいと思っていたが、自分が体験してみるとホントだった。

寝ている自分と平行になっていたな。

見下ろす自分の顔あたりははっきりしていたが、胸から下は綿あめみたいなものでボ~ッとぼやけていた。

ああ、死んじゃったんだ。もう、動かないんだな……

みたいな、他人事のような弱い感情があった。

同時に寂しいような、空しいような、悲しいような気持ちと、空白みたいな虚無も感じた。

このあたりは今となってはうまく言い表せない。

というか、一生懸命書こうとすると、すーっと実体験から遠ざかる感じ。

真下に見える自分は変にグッタリしていて、ペタンと薄っぺらで、白くて頼りなかった。
どれだけ時間がたったのか、全くわからなかったけど、麻酔覚醒のバッドトリップでおれは医者と看護士に殴りかかっていた。

上から見たときの弱々しい自分のどこにそんなパワーがあったのかは知らないが、覚醒時に感じた生命の奥底からのものすごい怒りは、今でもかすかに覚えている。

ICUから一週間ぶり(本当は8日)に出られて、個室に移ったのが12月31日の大晦日。

重篤(じゅうとく)患者以外は、家で正月を迎えられるよう退院させてもらえるんで、病院内は閑散としている。

おれは個室のちっぽけなTVじゃなく、デイルームのデカ画面で行く年来る年が見たくなって、電源が最少限に落とされた暗い廊下に出た。

個室の隣の隣がいつも2~3人がいる看護士詰め所。その前がICU。

その向こうがでっかいデイルームで、しゃれたつい立てや観葉植物で隔てられて、3基の大型エレベータと向かい合っている。基本、ワンフロア。

もうすぐデイルームってところで、背が高くて肩くらいの髪の看護婦さんが俺のほうを見て立っていた。

気にもしなかったんだが、その人はおれが近づくのをさけるように、ジリジリあとずさりする。

見たことのない顔で(?)と思ったが、けっこうキレイな人だし、大晦日だから他の科からでもヘルプに来たんだろうと、音を消してTVをつけた。

でも、ちょっと好みの女のせいか、なんか気になる。振り向くとエレベータの前で、おれのほうに体を向けてジッと見ている。

ああ、おれがまだ重篤患者なんで、寒いルーム(暖房は切ってある)でヒートショックでも起こされちゃ、と思って見てるんだな……と自分で納得。

部屋に追い返さないでいてくれる温情に感謝すらした。

まもなく新年になったので(じゃあ、もどろう)と立つと、まだジッと見ている。

前を通るとき会釈でもするか、と思いながら、ちょっとリモコンを見て目を戻すと、い、いない。

エレベータ前から看護士詰め所までは10mはある。アスリートみたいにズサーッとスライディングでもしないかぎり、一瞬では行き着けない。

詰め所は腹くらいまでのカウンターで囲まれてるから中が丸見え。でも、だれもいなかった。ICU室がワサワサしていたから、みんなそっちにいるんだろう。

おれ自身も怖くなかった。大晦日と新年にまたがる奇妙なお話でした。

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86:2017/01/27(金)10:35:17.06ID:zu3ahpJf0
>>78
入院したことないからわからないけど、一週間ICUにいてその翌日に1人で歩いてデイルームまで行けるもんなのか?

87:2017/01/27(金)12:42:28.99ID:AfIOdNBT0

人それぞれだね。

個室に入ったとたん、普通食に切り替わる。つまり、それだけ回復したということ。

おれはとにかく管理されるのがきらいなんで、ひたすら元気になって早く退院したいしか考えていなかった。

医者にムリを言って「まだ早いけど、ま、いっかぁ」という許可をもらったくらいだ。

それでも1ヵ月かかったな(笑)

89:2017/01/27(金)17:35:34.67ID:Vnplv7nu0
臨時体験して何か変わったことある?
考え方とか

91:2017/01/27(金)22:31:29.87ID:AfIOdNBT0
>>89
うん、いくつかある。

1)こういった超常体験に謙虚になったよ。以前は「ガセ」「錯覚」「アタマが変になった?」とか思っていたけれど、今は「なるほど。ありそうだな」と思える。

2)死ぬまでは痛かったり苦しかったりタイヘンだったけど、死ぬと静かな悲しみや空しさや寂しさに包まれる。その感情がものすごく強かったり、否定したりすると、この世に迷ってしまうんじゃないかな??

3)嫁や友だちや従業員や猫などの身近な人や動物に対して、とても優しくおおらかで親切になった気がする。

4)やっぱり、生きてるってすばらしい!毎日、陽が沈む夕方になると、何かに感謝をささげている自分がいる。

(了)

 

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