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短編 ほんのり怖い話

お悔やみ広告

更新日:

 

仕事にまつわるほんのり怖い話。詳しく書くとアレなので、ところどころぼかします。

674 :本当にあった怖い名無し:2011/10/12(水) 00:00:35.38 ID:OqPWVgtZ0

私の仕事は、いわゆる広告業。

中でも、お悔やみの広告_

《鮫島繁雄様 一九日死去 通夜は一八時から赤不動さまにて……》

_みたいなもの。

新聞とか、ネットに載ってるんだけど、を間違いがないかチェックして先方に送るという、校閲業務を担当している。

当然、死後数時間の悲しみ真っただ中のご遺族と打ち合わせしなきゃならない。

たいてい電話なんだけど、たまに話の最中でいきなり狂ったように笑い出す人もいる。

泣きながら遺産相続の話をする人もいるし、怒り出す人も……

やっぱり普通の精神状態じゃない。

ある日、男性から『新聞に載せたい』と電話があった。

ウチには大抵葬儀社経緯で依頼が来るんだけど、たまに遺族から直接電話が来ることもある。それは良い。

けれど、年齢の感じは中年から後期高齢者。

なのに、オネエことばなのが、ものすごく気になった。

いつものように個人情報保護法などの簡単な説明をして、名前から確認しようとしたら、

『昨日は葬儀社が連絡したんだけど、葬儀社が違う名前で送ってしまった。直接訂正したい』とのこと。

その方いわく、昨日送ったのは【田中ミツ】さんだけど、正しくは【田中晃】さんが亡くなったのだそうだ。

情報を提供した遺族と、亡くなった方の名前が逆になっていたと、大層お怒りだった。

確かに、確認したらそう書いてある。

とりあえず、宥めて正しい情報の確認開始。

その間も、オネェ言葉が気になって仕方がない。

で、色々終わってから、最後にこう伝えた。

「では、貴方様のお名前とご連絡先、田中晃さまから見た続柄を教えて頂けますか?」

『それは、内緒なの』

「え?……それでしたら、広告は出せませんが……」

『でも、晃は死んだのよ。でもミツは生きてるのよ』

「いえ、あの……」

ここら辺から、段々男性の様子がおかしくなる。

『死んだの。晃が……死んだの』

「それでも、田中様のご家族ということがはっきりしていませんと、掲載は……」

『晃は死んだのよ!ひひ……ひひひひひ……』

本当にこんな笑い方だった。

今までにも笑い出す人はいたけど、ここまでわけのわからない人も初めてだった。

もうゾッとしてしまって、一刻も早く切りたくなってしまった。

そこに、ベテランの先輩が通りかかった。

私はとりあえず「上司に相談しますので、少々お待ちください」と告げ、先輩に田中ミツさんの件を知っているか聞いてみた。

すると、「あぁ、それ俺が受けた電話だわ」とのこと。

私が田中晃さんの件を話すと、先輩は顔をしかめて、

「え?だって、俺に掲載の依頼をしてきた男性は、田中晃さんだよ?オネェ口調の男性だったよ……」

結局、電話は切れていました。

田中晃さんは、自分を死んだと広告に出して、一体何がしたかったのか。

田中晃=男性だった本人、転換して男ではなくなる……

田中ミツ=女性としてやっていくための名前……

転換して過去の男としての自分は死んだ……

ということで葬式広告を出したかったんじゃないのかな?

葬式を本当にするかどうかはしらんけど……

追申

実は、結局『田中ミツ』さんという女性は亡くなっていたんです。

最初に葬儀社が出した『田中ミツ』さんの情報はあっていました。

葬儀社によると、『田中晃』さんはミツさんの息子。

なぜ、母親の代わりに自分が死んだことにしたのか……

 

686 :本当にあった怖い名無し:2011/10/12(水) 00:57:02.27 ID:OzAbD4fx0

似たような症例の人が入院してきたことありますよ。

母親への依存が高い人が、母が死んだことが受け入れられず、自分自身が母だと思い込み、死んだのは自分だと妄想されていました。

無理に妄想を治すとかえって危ないので、内服治療で落ち着くまでは様子見でした。

(了)

 

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