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短編 ほんのり怖い話

取り壊し予定の家の土壁の中に御札がびっしり詰まっていた

更新日:

引越し屋でバイトしてるんだけど、取り壊し予定の家から家具を運び出しているときに体験した話。

2002/09/09 01:11

お客さんは、七〇代くらいのお爺さん。

「この壁がなければ家具の出し入れもしやすいでしょう」

と、大工道具を持ってきてノコギリやらカナヅチで土壁を壊し始めた。

壊した土壁が崩れ落ちた時、壁の中に大量の御札が詰まってるのが見えた。

梵字らしきものがびっしりと書かれたA5サイズくらいの和紙が、見えるだけでも数十枚……

それに驚いたお爺さんが血相変えて家の中をひっくり返し始めると、

梵字みたいな文字の御札が、木造平屋建ての家の見えない場所から出るわ出るわ……

畳の裏、天井裏、縁側の床板の裏、壁の中、一枚一枚全て手書きで、全て微妙に違う文字が書いてあった。

奇妙だったのは、一昨年に工事したばかりという、玄関前にある真新しい側溝コンクリート蓋の裏にも貼ってあったこと!

さらに、御札には明らかに古いものとそうでないものが混ざっていた。

「まえに見た時はこんな物は貼ってなかったんだけどねぇ……」

と爺さんが首をかしげるような場所にもいくつか見つかった。

家自体は、二〇年くら前に空家だったのをそのまま買い取ったらしいから、前の住人の情報は皆無……

とどめは、引越し先の新築の平屋建てに、俺たちのトラックが到着する直前に雷が直撃したこと!

幸い、避雷針で地面に逃がしたけど。

あの家(や土地)にまつわる『何か』を封じている何者かが、家を手放した後も住人に気付かれないようアフターケアをしていたのでは?

あの落雷で、新しい家にその『何か』も引っ越したのか?

自分の想像力ではこの程度の結論が限界でした。

とにかく不気味な経験でした。

(了)

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