短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

村の外れにある防空壕【ゆっくり朗読】

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昔、親戚のおじさんに聞いた話。

110 :本当にあった怖い名無し:2022/05/17(火) 22:25:59.01 ID:Wa2Qcfw50.net

30年くらい前、地元の小学生が神隠しにあったらしい。

下校時間になっても家に戻らず心配した母と近所の住民で探し回ったが何処にも居なかった。
各々の情報を交換しようと公民館に集まり話し合っている中、誰かが聞いてもいないのに突然怪談話をし始めた。

話を要約すると戦時中、サイレンの誤報により村民たちが村の外れにある防空壕に避難したのだが、入り口が崩れ村民30名程が生き埋めになった。
巻き込まれなかった村民たちは何の音も聞いておらず、防空壕の瓦礫が取り除かれた時には既に生者はいなかった。
というものである。

話が終わるまで誰も動けずにいた。人々が振り返った時にはもう何も居なかった。
妙な胸騒ぎを覚えた母親は防空壕を探すことを提案したが、賛同するものは居なかった。
まず防空壕に行くには無整備の藪を超えなければならず、入り口はフェンスの扉に南京錠で施錠されている。
常識的に考えて子供がそんな場所にいるはずがないのである。
だが先程の奇妙な話と今の状況がどうも符合して思えた母親は、無理を言って中を調べさせて貰った。
防空壕は入って3メートル程直線で、その先に開けた空間がある。その広場の奥。切られた石の上に娘は横たわっていた。
直ぐに病院に連れて行き娘は一命を取り留めたのだが、脱水症状を起こしていたようで点滴を行い、暫くすると意識が戻った。

意識を取り戻した娘になぜあんな場所に居たのか聞くと、
下校中に大きな音がして恐ろしくなり、逃げようと走っていて気がついたらあの洞窟にいた。
自分の他にも一緒に逃げた人が沢山いて、身を寄せ合っていた。
その内に不気味な音が鳴り響き気を失ったと。
母はそれ以上は何も聞かなかった。

おじさんから聞いた話は以上である。
人口の少ない村ということもあり、当時は相当な騒ぎになったらしく知ってる人も多いという。
好奇心旺盛な子供だった私は自分なりに調べてみることにした。
しかし誰に聞いてもそんな話は知らないと言われた。地方新聞やネットにもそれらしい記述はなかった。
だからあの話はおじさんの作り話かも知れない。
ただ調べていてわかったこともある。
まずあの洞窟は少なくとも室町時代頃には存在しており、自然の洞窟を防空壕として利用していたという。
旧街道沿いにあり、昔何かに使われていた形跡はあるが詳しくは不明。
サイレンの誤報も入り口の崩落も実際にあったらしく、危険なので封鎖されている。
また洞窟付近には沢山の狐が住んでおり、鳴き声が反響して不快な音が聞こえる事からその昔、洞窟は子泣きの洞穴と呼ばれていたということ。
現在は洞窟に至る道の整備がされておらず、防空壕があると知らない人が殆どであるということ。

最後に
その村(市町村合併により今は村ではない)は今もある。場所は伏す。

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