中編 山にまつわる怖い話

瑞牆山登山(みずがきやまとざん)【ゆっくり朗読】4500

投稿日:

Sponsord Link

2014年(平成26年)8月4日。瑞牆山(みずがきやま)に登ったんだよ。

夕方から登り始めたんだけど、途中で凄い濃霧にあってそこで不思議な体験したんだよね。

ちなみに登山歴は8年でこんな体験は初めて。

で、登り始めたのがログデータで16:43。いわゆる、北面ルート黒森上(くろもりうえ)から登り始めたんです。

で登り始めて1時間半くらいで滝まできたんですが、ここから先に霧が見えたんですよ。

まぁ標識もあるし、装備は完璧。ちょっと天候ヤバくなったらビバーク(野営)すりゃいいかなと思って進んだんだ。

でもこの判断が間違いだった。

滝をすぎてから40分くらい。時間で19:01だったのは記憶してる。

あたりが暗くなってきたし、霧も濃くなってきたのでヘッドライト、携帯ランタンを装備。

その時に気づいたんだけど前を誰か歩いてるんだよね。時たまライトの光が霧の中から見えるんだ。前の人に追いついちゃ悪いから少しゆっくり行こうと思ったわけ。

その後どんどん霧が濃くなって先行してる人の明かりをたよりに登って行ったんだけど違和感を感じてたんだ。

自分もペースをかなり遅くしたのにライトっぽいものとの距離がほとんど一定。

しかも明かりの色が問題で、霧だったし、ボンヤリしてて気にしてなかったけどライトの色が赤黄色っぽいんだよ。

普通今時の登山者、特に夜間歩く人ならほとんどの人がLEDだし、それにヘッドライトにしてはやけに後ろを振り返ってるんだよね。

まぁ振り返ってくれるから自分から見えてる訳なんだけど。

その後時計を確認したら21:00を過ぎてて一向に山頂に着く気配もなく、霧も濃いまま。

さすがにヤバいな……と思い立ち止まって地図とコンパス、GPSで位置を確認したんだ。

で位置情報。なぜか受信できない。まぁ濃霧で受信できないってことは確かにあるから気にせず、じゃあと、高度計使ってだいたいの高度と、山の斜面の方位からどの辺りにいるのかを予測してみたんだ。

そしたら高度1870m、斜面方位が真西。つまり山の真東側にいることになってたんだ。

もちろん登山道から大きく外れてしまったようなんだ。

こんな時は動かず朝になるか霧が晴れるのを待つべきだな……と思い野営準備をした。

その時もその明かりはこっちをちらちら見ているような、そんな風に見えたんだ。霧で反射してるだけだとその時は思ってたけど。

食事してツェルト張って、少し寝た頃かな?スゴい辺りが明るくなった気がして起きたんだ。

でも辺りは暗闇。その中で例の明かりがみえていたんだ。こちらが止まってから向こうも動いていないようだった。(この時点でライトじゃないとわかってた)

さすがに怖いから少しだけ移動しよう。と思ってツェルトたたんで、南西の富士見平小屋方向に進んだんだ。

もう道とか関係なく南西方向に、とにかくまっすぐコンパスを使って歩いた。

その時は体力には余裕があったけど心理的に余裕なかったし、正直山登りであってはならないことしてたんだなって思うよ。

時計を見たのが1時過ぎてたと思う。

急にスゴい近くで女性の声が聞こえたんだ。はっきりと。

「どこにいくの。そっちじゃないよ」って。

焦って辺りを見回したけど当然誰もいない。

さっきまで見えた明かりも見えなくなってたんだ。

幻聴が聞こえるとか、こりゃホントにヤバい事になってきたな、と思って小走りになったんだ。さすがに息も上がってきた。

そしたら見えるんだよ。木々の間からさっきの明かりが。

見えている方向は南西方向。つまり自分の進行方向。

でも、今まで道無き道を結構急いできたし、その明かりが突然自分の前に来れるはずないんだ。

怖かったけど、どうしようもなかったし、とにかく山小屋方向へ急ぐしかないと思って、明かりのある南西の方に急いで進んだんだ。

何かと遭遇したらヤバいという緊張感と、濃霧、闇という状況から冷静じゃなくなっていて、さっきの声が「そっちじゃない」「そっちは危ない」っていろんな方向から聞こえてくるんだ。

まるで囲まれているかのような、頭の中で響くような……

そんな状況が続いて4時前頃かな?フラフラになっていた時に足が何か踏んだんだよ。

そしたら

「おまえも同じめにあえば良いのに」

って聞こえて明かりも声もなくなった。

踏んだのは何かの花束みたいだった。

そこから霧が少し晴れはじめて辺りも明るくなり、忘れてたGPSも使えたので富士見小屋に避難しました。

小屋の親父にその話をしたら、瑞牆の霧は異界に繋がっていて、過去に何人か行方不明になってるとか。あとは付近で女性が亡くなってるんだって?

その人へ花束とか持ってくる人はいるのか訪ねたけど、相当前の事だから今は場所もわからないとの事。

この時点で気づいたのは声は1人じゃなかった事。

全て女性の声だった事。

最後の「同じめに……」の声だけ金切り声みたいな声だった事。

そして自分が通ってきた斜面が、50mで100m近く下るとんでもない*勾配(こうばい)だった事。
※約64度……ほとんど崖


※勾配イメージ図

自分は何に誘導されてドコを通ってきたのか。

そして最後に踏んだ花束みたいなものはまだ新しく、かすかに線香の臭いがした。狐にでもつままれたのか?

とにかく無事に降りれてよかったです。

ちなみに4日は瑞牆山は晴れ。霧はまったくなかったそうです……

Sponsored Link

瑞牆山(みずがきやま)・山小屋OL殺人事件

山小屋OL殺人事件とは、1983年、山梨県北巨摩郡(きたこまぐん)須玉町(すたまちょう)増富(ますとみ)の奥秩父連峰瑞牆山に1人で登山をしていたOL坂上みどりさん(22・仮名)を、山小屋の管理人・大石武(50・仮名)が強姦しようと殺害した事件である。

事件概要

1983年9月19日午後、山梨の北巨摩郡須玉町増富の奥秩父連峰瑞牆山(高さ2230メートル)の中腹の、富士見平小屋近くの北東300メートルの登山道の下100メートルの雑木林から、女性の腐乱死体が見つかった。

9月3日に1人で登山に行き、行方不明となっていた武蔵村山市のOL坂上みどりさん(22)と判明、坂上みどりさんは殺害されており、9月23日には富士見平小屋管理人の大石武(50)が逮捕された。

9月3日午後9時20分、山小屋に泊まっていた坂上みどりさんが、就寝前にトイレへと外へ出たところ、大石武はレイプしようと100メートル西の山林へと引きずりこみ、下り斜面を悲鳴を上げながら逃げる坂上みどりさんのシャツを掴んで、手で口を塞いで窒息死させた。

9月4日午前5時30分、大石武は死体を遭難死に見せかけるべく発見場所へと運んだ。

大石武は山梨県山岳連盟の中でもベテランだったが、1982年9月にも女性1人が泊まった際にわいせつ行為に及び、女性は別の山小屋に逃げ込むという騒ぎがあった。

坂上みどりさん失踪の夜は別の客も数人宿泊しており、大柴の供述と他の客の証言の食い違いから、大石武が犯人として浮上した。

経緯

1983年9月4日東京都武蔵村山市のOL、坂上みどりさん(当時22歳)の家族から、娘が前日の3日早朝、山梨県北巨摩郡須玉町の奥秩父山系瑞牆山に1人で登山に行ったが、帰宅予定の4日夜になっても戻ってこないと警察に捜索願いを届け出た。

連絡を受けた山梨県警韮崎(にらさき)署員が捜索した結果、同月19日になって瑞牆山の中腹付近にある富士見平小屋から200メートル離れた登山道下の山林で腐乱死体の坂上みどりさんを発見した。

韮崎署は他殺と事故の両面から捜査を開始した。早速、現場近くの富士見平小屋の管理人・大石武(当時50歳)に事情聴取した。

大石は、坂上さんは3日午後4時頃に山小屋にきたが、5時頃呼びにきた若い男と一緒に出て行ったままであると答えた。

捜査員は、大石の落ちつかない態度に不審を抱き更に厳しく追及した。

その結果、当日に限って宿泊名簿をつけていないことが判明。また山小屋近くでキャンプしていた登山者が、助けを求める女性の悲鳴を聞いていたことや、以前山小屋を利用した女性から管理人に犯されそうになったという情報を得た。

同月23日早朝、警察は大石が坂上さんを殺害したとみて任意同行で取り調べを始めた。大石は当初、若い男の存在を主張し続けていたが夕方になって坂上さんの殺害を認めた。

大石の自供によると、3日午後9時20分頃、戸外のトイレに行く坂上さんを乱暴しようと山林に連れ込んだが激しく抵抗されたためシャツの襟首を強く引いたところ坂道だったため首を吊った状態になり窒息死した。

翌日未明に坂上さんの遺体を担いで現場から100メートル離れた窪地に遺棄した。リュックや衣類は焼却したということだった。

4年前の女性行方不明の疑惑

大石は両親と妻、娘の5人暮し。昭和52年(1977年)、麓の増富ラジウム温泉観光協会経営の同小屋の管理人となった。

宿泊客がいない時は須玉町の自宅に帰るような生活だった。性格は無口でおとなしいが、以前から同小屋で女性に悪戯したとの噂があった。地元では女性登山者に対して富士見平小屋には泊まらないように注意する人もいた。

警察は、今回の事件から4年前の昭和54年7月7日奥秩父の甲武信(こぶし)岳から燕山を目指して登山していたA子さん、B子さん2人の行方不明で、同年8月4日と5日に甲武信岳手前の水晶山山頂付近で発見された白骨化した2人の不審死に関しても大石が深く関係していると見て取り調べを行った。

2人の白骨化した遺体には後頭部と上腕部の骨折が認められた。衣類には鋭利な刃物で切られた傷跡があり、2人の所持金と腕時計は見当たらなかった。埼玉県警は転落死と他殺の両面で捜査したが結局未解決のままだった。

韮崎署は、2人の登山ルートが今回の事件と同じ登山ルートであるため大石の犯行と見て追求したが、大石は犯行を否認。結局確証もなく立件はできなかった。

懲役13年で確定

1984年10月、大石武は坂上みどりさん殺害で婦女暴行致死、遺体遺棄などの罪で懲役13年の判決を受けた。1997年には出所している。

(了)

Sponsored Link

Sponsored Link

-中編, 山にまつわる怖い話
-

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.