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短編 ほんのり怖い話

恐怖の寝言

更新日:

よく寝言に返事しちゃだめ、っていうじゃないですか。

497: 本当にあった怖い名無し:2011/12/23(金) 05:28:46.35 ID:8oMuYefF0

私が寮に居た時に流行ってたというか、皆その話をしてた時期があったんです。

皆情報源もばらばらなんで、言ってる事もばらばら。

寝言を話してる人に話しかけるとその人が狂う、死ぬ、夢遊病になるとか、逆に話しかけたその人に不幸がふりかかるとか、口げんかして負けると死ぬとか。

まあ皆そんなの迷信だと解り切っていました、試した事もありますが別に何も無かったんで。

そんな噂も、すぐに誰それがつきあったとか惚れたはれた……って風化していきましたね。

夏休み直前の出来事です。

夏休みって言っても親の都合、再試の都合やらで皆が一斉に帰れるわけじゃなくて寮には十人前後残ってたんです。

夜はテレビ室に皆枕を持ち寄って雑魚寝してました。

その夜はなんか映画だかやってて遅くまで起きてたんです。

数人力尽きて寝てましたけど。

その数人の中にカオルって、学校でもちょっと不思議ちゃんで通ってる子がいまして。

カオルが寝言を言いはじめたんです。

うなされてるというよりは、なんだか言い争ってるような感じでした。

「だめだよ、今は遊べないよ、だめだって、言う事を聞いてよ」

そんな事を繰り返していたんです。

周りの私達はそういえばあんな噂あったよねーなんて話してて。

じゃあちょっと話しかけてみようかってある女の子が言い出したので、丁度となりにいた子が「なんでよぉ、遊ぼうよぉ」ってカオルに話しかけたんです。

カオルはますます「遊べないって言ってるでしょ」と眉をしかめていました。

反応が面白くて、皆笑いを抑えるのに必死。

「誰なの?」なんてある子が聞いたら、カオルは「妖精さん」なんて不思議ちゃん発揮してました。

次々にいろんな子がカオルに話しかけて、そろそろ寝かしてあげようか?って話をしはじめた……その時です。

カオルの形相というか、顔がなんだかひきつった感じになって

「嫌だぁ、そっちは行きたくない、助けてえ!」って大声で叫ぶんです。

寝てた子も飛び起きちゃうほど大きな声で。

そんなカオルに私達も、えっ!?と思って。

とりあえず私が「おきて!」ってカオルの肩を揺さぶったんですけれど、ぜんぜん起きる気配無くて、むしろカオルのうなされようが増して酷くなるんです。

「イヤだあ!やだやだやだ!誰かあ!」

って本気で叫んでるカオルは絶対に目を開けようとしないんです。

顔をひっぱたいたり、体を大きく揺さぶったり、耳元で叫んでも全く起きないんです。

私も周りの子ももう驚きが恐怖になっちゃって、どうしようもなかったです。

髪を振り乱しながら汗だくでうなされるカオルを見てたら、何にもできない。

そんな中でカオルがおもむろに腕を体の側にぴったりつけて、体を起こしては寝、起こしては寝って、まるで機械の様に繰り返しはじめて、もう私達はヒッとしか声出ませんでした。

で、止まったんです。

それまた機械のように、ぴたりと。

固まってた友人がカオルにかけよってみると、まあただ寝てるだけで

「なんだあ!やっぱり不思議ちゃんだわ~」

なんて声をあげるので、私含めて皆で「なんだあ」と安堵の息をもらしたんです。

その後私も「もう、驚かしてえ」とふと顔を覗き込んだんですよ。

そしたら、目を思い切り開けて、ヘヒヒって唇を真横に伸ばしきりながら笑ったんです。

驚いて「エッ!」て声あげても皆別に気にはしてなくて。

よく見たら、カオルはスースー寝息たてて寝てるし。

自分がおかしくなったの?と思いました……

だけど、やっぱりカオルがおかしくなってました。

私にだけ、あの目を開けるだけ開いて唇をグイッと伸ばしきる笑顔を、目が合うたびにされて。

実はもう限界に近いかも。

これ思い出すたびにあの笑顔が脳裏によみがえって……

連れて行かれたんだよ、あの子は。

(了)

 

怖い本(9) [ 平山夢明 ]

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