昔、父に愛人が居た。
251 :もしもし、わたし名無しよ:2005/09/19(月) 15:16:54
数年後、母にバレて別れる事になったのだが……
それが原因でその愛人さんがちょっと精神的に不安定になり、私や私の姉達の通学路に立っておかしな言動するようになった。
姉達は彼女を最初から徹底して無視していた。
でも私はなんだかかわいそうだったので当り障りない受け答えしていたら
「愁子ちゃんだけはいい子なのね」
と私にジェニー人形をくれる様になった。
オモチャも服も全てお下がりオンリーだった末っ子の私には、古いリカちゃんではない、真新しいジェニーがとても嬉しく、内緒で受け取って親に隠していた。
でも、愛人さんは頭おかしいものだから、こちらの都合も考えずに、*尋常じゃない数を通学路で押し付けてくる様になり、さすがに怖くなって彼女を避ける様になった。(※一度にジェニーハウス・ヘアサロン・ジェニー七体等)
彼女の姿を見かけなくなったので通学路を元に戻したある日の朝。
以前の焦った様な雰囲気では無く、至って冷静で表情の薄い彼女に遭遇。
つばの大きな帽子を被り、ボストンバッグ二つと、オモチャの箱を抱えていた。
遠くに行かなくちゃならなくなったので、お別れに受け取ってと、当時は見た事がなかった黒髪のロングヘアーのジェニーをくれた。
早速学校に行き、その珍しい黒髪のジェニーを皆に自慢して有頂天になっていたら、男子の一人が奪って、箱からむしり出し、首を引っこ抜いてしまった。
女子数人がジェニーを男子から取り返してくれたそのジェニーの顎下からは、黒い人の髪がぼうぼうはみ出てた。
気の強い女子の一人が毛束をつまんだら、最初に固く丸めた毛の塊がポコンと出た。
次にゾロゾロゾロと とても長い毛が出て来て、頭皮から毛束が連動してゾロゾロゾロゾロと抜けた。
血の付いた毛根がついた、切り髪ではなく、抜いた毛だった。
囲んでそれを見つめていた一同、恐ろしくてめちゃくちゃに叫んだ。
気持ち悪くて怖くて、私も皆もいたずらした男子も泣き出してしまい、次の授業がつぶれるほどの大騒ぎになった。
その日の学級会で
『愁子さんが通学路で知らない女の人から貰った人形に人の毛が詰まっていて怖かった件』
について話し合い、
『知らない人から物を貰わない・変質者には気を付ける』
で話がついた。
先生にも母にも父にも
『その変質者=父の元愛人』
とは言えなかった。
未だにジェニー、特に黒い髪のジェニーはまともに見ることも出来ない。
(了)