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心の中の深い穴

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小学校低学年の時、仲の良かったこういち君と近所の工事現場で遊んでいました。

下水管を配管するための工事だったらしく、深さ三メートル、横幅二メートル、長さ一〇メートルくらいの大きな穴があいて、その上に幅三〇センチくらいの横板が二、三本渡してありました。

その穴を私が恐々覗き込んでいた時、こういち君はふざけて私の背中を軽く押しました。

その行為がかなり頭にきてしまい、こういち君が覗いた時に、私は彼の背中を強く押しました……

こういち君は穴の中に落下して、動きません。

私は頭が混乱して、泣きながら家まで走りました。

家に着くなり母親に向かって泣き叫びました。

「こういち君が穴に落ちちゃった!」と。

母親は私を連れ工事現場まで走りました。

穴の中には横たわったままのこういち君が……

それから後はよく覚えていませんが、救急車やパトカーが数台きました。

近所の人もたくさん集まってきました。

警察や親を含めた数人の大人に「どうしてこういち君は穴に落ちたの?」と聞かれました。

私は「こういち君が横板を渡ろうとして落ちた」と答えました。

怖くて怖くて嘘をついたんです。

数日後、こういち君は息を引きとりました。

詳しく説明されませんでしたが、落下時に頭部を強打したことが原因だったらしいです。

こういち君のお葬式にも行きました。

こういち君の父親は涙をながしながら私に向かって言うんです。

「こうちゃんと仲良くしてくれてありがとう。こうちゃんは天国に行ってもけんちゃんのことを絶対に忘れないから、けんちゃんもこうちゃんのことを絶対に忘れないでね」と……

その途端、私は泣き出しました。

周りの大人は、こういち君の死を悲しんで私が泣いたと思ったみたいですが……

その時の私はこういち君の父親のセリフが、

『こういちはおまえ殺されたことを忘れない、けんじ、おまえもこういちを殺したことを忘れるな!』

と言う意味に聞こえ、恐怖のあまり泣き出したのでした。

泣き続ける私は母親に抱きかかえられながら家に帰りました。

それから数日間、学校を休んだ記憶があります。

その事件については、その後誰も口にしません。

みな私のことを気遣ってくれたのでしょう。

今でも時々こういち君の夢をみます。

いきなり後ろから誰かに背中を突き飛ばされます。

私は深い穴に落ちます。

穴の中から上を見上げると、こういち君がじっと私をみつめています。

そこで必ず目が覚めます。

こういち君はいつになったら私を許してくれるのでしょう……

(了)

 

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