出張で泊まるホテルは同僚から、『出るぞー』って散々脅されていたところだ。
ビビりな俺は、ガクブルでその夜ベッドに入った。
案の定、深夜にドアをノックする音がする。
ホテルの人かな?と思い声をかけたが返事がない。
もうドアを見るのも怖くて、
ひたすらノックの音がする中、夜が明けた。
ノックが止んだ後、
俺は速攻でチェックアウトした。
出張から帰って同僚にノックの話をすると、
「やっぱり出たか」
とこんな話をしてくれた。
そのホテルは、以前火事になり逃げ遅れた人がいたという。
その人は運悪く部屋の中に閉じこめられて、そのままなくなったそうだ……
ああよかった。
ドアを開けていたら今頃どうなっていたことか。
……解説はこの下にあります。
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解説
部屋に閉じこめられて亡くなった人のノック音は、部屋の外からのものではない。
つまり亡霊は、ずーっと部屋の中にいた。
(了)