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消えた灯台守

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むかし読んだ本に紹介されていた話です

234 名前: 固定特異点 投稿日: 01/08/30 18:45 ID:3zg0npmQ

時代は二十世紀の初頭。アメリカの東海岸北部の、ある町で起こった出来事。

その町の海岸には険しい崖が多く、漁船の事故が頻発していた。

そこで、町の人々は州知事に請願を出し、海岸沖にある小島に灯台を建てて貰う。

二人の男が灯台守として派遣され、三日に一回のペースで交代しながら灯台を管理することになった。

交代の日が来ると、一方の灯台守が灯台のある小島までボートを漕いで行き、もう一方がそのボートを漕いで本土に戻るわけである。

小島には非常時のための予備のボート、一か月分の食料などが用意されていた。

お蔭で海難事故もめっきりと減り、地元の人々も一安心していたある日のこと、この地方特有の大嵐が前触れもなく町を襲った。

嵐は一週間にわたって猛威を振るい、農作物を中心に多大の被害をもたらした。

当然、灯台守の交代など不可能であった。

大嵐の中、ただでさえ崖やら暗礁やらでいっぱいの海をボートで渡れるはずもない。

ようやく天候が回復し、灯台守Aは大急ぎでボートを漕いで小島に渡った。

はやく相棒の灯台守Bを休ませてやりたい……、と思ったのか。

ところが、小島に着いても相棒の姿はどこにもない。

それどころか、灯台の荒れようが尋常ではない。

嵐の被害ではない。

雨風が吹き込まないはずの屋内の荒れようが酷い。

机や椅子などの燃えるものは全て無くなり、それどころか床板まで剥がされている。

地下室の非常食は全て食い尽くされており、また非常用ボートも消えていた。

一体なにが……?

と、そのとき、暖炉の上に置かれた業務日誌が、灯台守Aの目に飛び込んできた。

そこには、びっしりと全ページにわたって相棒Bの手記が記されていた。

○月△日
今日も嵐。いつになったら静まるのか。

□月*日
すでに二ヶ月以上も嵐が続いている。
食料が尽きて久しい。
この風雨では海に出て魚を捕まえることも適わない。

□月☆日
体力の限界を感じる。なぜ救助が来ないのか?
ひょっとして俺を残して全世界が消え去ったのか?

▽月◎日
嵐がようやく和らいだ。
外に出ても一面の霧で様子がわからない。
が、今を逃すと一生脱出できないかもしれない。
いちかばちか、この島を出ることにする。

最後の方はインクが切れたのか、血らしきもので記されていた。

当然ながら、それ以後、Bの姿を見たものは誰もいない。

死体も、ボートの残骸も、何も見つかっていない。

(了)

 

赤いヤッケの男 山の霊異記 [ 安曇 潤平 ]

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